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2010年1月 7日 (木)

ソロモンの指環

/コンラート・ローレンツ/ 日高敏隆[訳]

『刷り込み』はご存知だろうか?
ガンなどのヒナが、卵から孵って最初に見た動くものを、親と認識してついて回るという現象である。

ロレンツはこれを最初に発見し世間に紹介した動物行動学者であり、これは彼の書いた一般向けの動物行動学の本である。



  

ロレンツは無類の動物好きで、小さい頃からあらゆる動物を身近に放し飼いにし、ともに暮らして観察してきた。

この本は、そんな動物たちとの生活と、彼の鋭い観察と洞察力から導き出された法則が語られている。


『アクアリウム』では、プランクトンたちをペットにしていた子どものころの思い出に始まり、生態系の調和がうまくいった素晴らしい水槽の例が紹介されている。

バランスのとれたアクアリウムを世間に紹介した、最初の人ではないだろうか。

『ガンの子マルティナ』は、孵卵器で孵したハイイロガンのヒナが、ロレンツを親だと認識してしまう話である。

『動物たちを笑う』は、マガモの子を散歩させたり、コクマルガラスに認識リングをつけたり、オウムと同居する上で、ロレンツがとらざるを得なかった行動がいろいろ紹介されている。
ロレンツの近所に住んでいた人は、何て話題に事欠かない毎日だったことだろう!

『モラルと武器』では、凶暴といわれる肉食獣と、平和のシンボルといわれているハトやシカの行動についてが紹介されている。

攻撃力の強い武器を持つ動物たちには、それを使わないための行動上の様式が先天的に身に付いている。
たとえばイヌがオス同士で戦っている時、腹を上にして寝るのは降参のサインである。
しかしそのような行動様式がないものは、一方が死に至るまで、徹底的に攻撃してしまうものである。
さて、人間はどうなのだろうか。
というところで、この本は終わっている。

この本が書かれたのは、第二次世界大戦が終わって間もない1949年である。

日本では1963年に翻訳されている。

私は高校生の頃この本に出会い、アクアリウムや動物たちとの共同生活に魅了された。

訳者の日高敏隆も日本で有名な動物行動学者で、数多くの本を書き、『ハチドリの不思議』は、中学校の教科書(東京書籍)に載っている。

昨年(2009年)に亡くなられた。

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