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2010年1月 8日 (金)

ブルー・シャンペン

/ジョン・ヴァーリイ/

1986年に出たSF短編集。
表題の作品は、その2つ目に収録されている。

舞台は月に設けられた、人工力場発生器のおかげでシャンペン・グラス型の形を保っていられるプール、『バブル』だ。

主人公は、プールの救助員、クーパー。
筋骨たくましく、泳ぐことが好きな他にはほとんど何も考えていないようだが、何かにこだわりを持っている。

バブルで知り合ったタレント、メガン。
少女の頃に首の骨を折る大ケガをした女性だが、大金持ちの両親のおかげで美しく装飾された人工骨格『黄金のジプシー』を装着し、厳しい訓練を経て、モデルとして再起した。

2人の間の美しく悲しい、ラブ・ロマンス・・・
SFという設定を最高に活かし、重いテーマを取り扱いながら、さわやかにまとめてくれている。
私の最高にお気に入りの作品である。

まず身体障害というテーマを、正面から取り上げている。

『「だめ。」彼女が冷静にいった。「規則その一。むこうからたのまれないかぎり、かたわに手をかさないこと。いくら苦労していても、そのままほうっておきなさい。」』

『「ぼくはいままでかたわとつきあいがなかったんだ。」「規則その二。ニガーは自分をニガーと呼んでいいし、かたわは自分をかたわと呼んでもいい。でも、五体満足な白人がどっちかの言葉を使ったら、ただじゃすまないわよ。」』


泳ぐことにしか興味のなかったクーパーは、今まで考えもしなかったことをメガンから学んでいく。
メガンが少しずつ見せる『本当の私』を、クーパーは戸惑いながらも受け入れていく。

『あなたはどんどんテストにパスしていくわ、クーパー。こっちが追い付けないぐらい。』


次に『体験テープ』のモデルという、メガンの職業がユニークだ。

これはヴァーリイのオリジナルな発想によるSFとしての設定だから、ここでは詳しく説明しない。
簡単に言うと、人工骨格に慣れたメガンなら、記録用の装置を気にせずに自然な気持ちで体験をすることができるために、そのテープを作るモデルを職業としているのだ。

『「いくらもらっても、きみのような職業はお断りだ。」「わたしだって」彼女はようやく言葉をつづけられるようになった。「それに、もうやめたわよ。」』


恋は燃え上がり、そして結末を迎える。
傷心のクーパーを支えてくれる、元のセックス・フレンド、アンナ・ルイーゼは、爽快で力強い。
私のお気に入りのキャラクターだ。
次に入れられた短編『タンゴ・チャーリーとフォックストロット・ロミオ』にも出場する。

そちらの話も、今度ご紹介しよう。

ヒューゴー賞・ネビュラ賞(アメリカですぐれたSF作品に与えられる賞)受賞。
ぜひあなたの本棚にも、入れてみてください。



下のリンクが、しょぼくて済みません。
絶版になってしまったのかしら・・・
それに、セカンドハンドでも手に入りにくい?

アマゾンで本が見つかったら、リンクを貼り直しますが、申し訳ありません。
しばらくは他をあたってみてください。Blue_champagne_2

 

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