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2010年1月10日 (日)

ローラ  あざらしと少女

/ロウィナ・ファー/

10歳の少女『私』が、叔母とただ2人きり、スコットランドの荒野で暮らしていた。
ときどき近所の人と交流することはあるけれど、いつもの相手は主に動物たちだ。

ネズミ、カワウソ、リス、ツグミ、イヌ・・・アザラシのローラは、その中で一番頭のいい動物だった。
35個もの単語を理解するのだ。
ちなみにイヌのベンは、12個だった。

ローラはまだ子どもの頃、親とはぐれたところを漁師に助けられ、『私』が育てることになったのだ。

ローラとの日々は楽しかった。
次々といたずらを仕掛けたり、いっしょに泳いだり、音楽を楽しんだり。
ローラは木琴やハーモニカも演奏できるのだ。
しかもとても上手に。

『私』と叔母の生活は、質素で単純なものだった。
朝起きて動物たちの世話をし、朝食を済ませて学習をする。
野菜は作るけれど、売るほどは収穫できないので、叔母はロンドンから送られてくる皿などに模様を描いて送り返し、生活の糧を得る。

そんな彼女たちの生活が、いろいろな動物たちとの関わりを中心に綴られている。
静かどころか、むしろにぎやかなくらい、その生活は笑いに満ちあふれ、事件が頻繁に起こる。
動物たちの描写は詳しく、躍動感があり、暖かい。
著者が本当に動物好きだということが、伝わってくる。



ではなぜこの本のジャンルを『ノンフィクション』でなく『小説』にしたか、である。

1957年にこの本が発行されると、たちまち世界中で大人気になった。

しかし、著者の経歴はほとんど謎に包まれているのだ。

かなり孤独な少女時代を送ったらしいのだが、本当に荒野で叔母と2人きりで7年間暮らしていたのか。
本当にアザラシたちをペットにしていたのか。

そのあたりは、明らかにされないまま一生涯ほとんど旅を続けたあげく、1979年に著者は亡くなってしまった。


私は、アザラシたちとの生活は、まったくの絵空事ではないと思う。
想像力だけで、ここまで動物たちを生きいきと描写できるものではない。
この本を出したのは、彼女が35歳の時だということになるが、それまでに著者が実際に体験してきたことが核になっていることだけは、間違いがない。

フィクションにしろ、ノンフィクションにしろいずれにしても、彼女が私たちに送ってくれたこのすがすがしい荒野での生活は、何度読んでも素晴らしい。




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