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2010年1月23日 (土)

プロヴァンスの青い空と海

/レディ・フォーテスキュー/

著者は古風なイギリスの女性の一人であり特別な教育は受けなかったのに、そのあふれる才能と明るい前向きな性格で、どんな境遇にあっても上手に工夫し、社会人として活躍してきた人です。

この本は1935年に書かれ、当時としては飛ぶように売れ、最初(第二次世界大戦前)のプロヴァンス・ブームを作ったといわれています。
老後の住処として、税金と生活費の高いイギリスを離れ、プロヴァンスの山小屋を改装して住むことにした夫婦と、地元の人たちとの交流を、楽しく生きいきと描いた作品です。

イギリス人とプロヴァンスの田舎の人たちとの気質の違い、田舎の結婚式や祭り、収穫のようす、職人や役所、庭師やお手伝いの人たち、そして自然の美しさなどが詳しく、ユーモアのある描写で書き込まれ、あたかも自分の隣人のように親しみが持てます。

著者が自然を、そして人間をこよなく愛しているからこそのエッセイだといえます。
読んだ人は誰でも、彼女の豊かな愛情を感じ、暖かい気持ちになるのです。

病気の妻を置いて仕事に来ている石工に『淋しがっている奥さんにね、』と言って庭の花をコサージュにして渡したり、自宅のティー・パーティーに村中の子どもたちを招待したり、うまく利用されているとわかっていながら村の若者の結婚式のために自家用車を出して運転手を務めてあげる。
こういったエピソードが、たくさん散りばめられているのです。

この本では詳しく触れていませんが、夫が『気難しい』とか『病身』という描写がよく出てくるのは、2人の年齢差が30歳で、夫の方はもう70歳代だからなのです。
その2人がどのようにめぐり合い、お互いの愛情を育てていったのかは、著者の三作目(ウインザー城の恋人たち)に書かれていますので、また今度ご紹介しましょう。

この本でのテーマは主に、『プロヴァンスの田舎暮らし』です。
1990年代にピーター・メイルの『南仏プロヴァンスの12か月』『南仏プロヴァンスの木陰から』に触発された第二次プロヴァンス・ブームの時に再版されたのですが、下に書いたように、今は絶版中。
でもプロヴァンスの暮らしぶりだけでなく、著者ウィニフレッド・フォーテスキューの人柄が素晴らしいので、ぜひまた再版していただけたらと願っています。

なお、2作目『プロヴァンスの小さな家』は翻訳されています(絶版中ですが)。
5作目は入手できていないのですが、4作目と6・7作目は原書を手に入れましたので、逐次ご紹介していきます。→たとえば『踏みにじられたユリ』(『原書』のカテゴリーで1~5の記事を書きました。)
どなたか、本格的に翻訳していただけないものでしょうか。


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 Provence 
この本が現在絶版なのは、とても残念です。
私は、自分の持っていたのを誰かに貸してどこかへ失くしてしまったので、中古でもう一度買いました。
挿絵も『クマのプーさん』のシェパード(著者が新聞のコラムニストになって以来の友人)によるもので、とても素敵なのに。(表紙はB.サンダース)

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