« イタリア料理が好き | トップページ | 歌う船 »

2010年1月31日 (日)

南仏プロヴァンスの12か月

/ピーター・メイル/

フォーテスキュー夫人の本を紹介していたら、この本をまた読みたくなってしまった。
ネットで探すと、この前の『ローラ あざらしと少女』やプロヴァンスの青い空と海のフォーテスキュー夫人、そして今回のこの本のように、鄙びた環境で暮らす物語のことを『逃避小説』とよぶ人もいるらしい。
厳しい環境ではとても逃避どころではないと、実際の経験に基づいて私は言いたいのだけれど、都会の喧騒から逃避していることは確かだ。
でもその代わり、彼らは自然と対峙しているのだ。
いずれにしても私は人間が苦手なので、事情が許せば自然と対峙するほうが好みであり、どうしても『逃避小説』にあこがれてしまう。
今も『プロヴァンス』に暮らしたくてたまらない。
でも、これが『逃避小説』なのだろうか?

プロヴァンスに居を構えたイギリス人である著者は、人間から逃げてなどいない。
どっぷり地元の職人や売り子たちと交流し、母国からの客ももてなし、土着の者として生きてゆこうとしている。
ネタを得ていると言えばそれまでだけれど、土地の自然と文化を愛し、理解しようと努め、自分なりに(そして家族とともに)寄り添おうとしている。
その前向きな心にこの本の温かみがあり、その結果生ずる異なる文化の衝突が、読者をわくわくさせてくれるのだ。

ご存じだと思うがこの本は、移住したばかりで家の改築に追われ小説を書くに似間に合わなかった著者が、友人知人のクリスマスプレゼントにでもなれば、という軽い気持ちで書いたものであった。
それがベストセラーになり、旅行記でないのにもかかわらず1989年の『イギリス紀行文学賞』をとり、1990年代のプロヴァンスブームを引き起こしたのだ。
この後続編もたくさん書かれ、2006年に『プロヴァンスの贈りもの』という映画もできた。

この本ではプロヴァンスの最初の1年間が、月ごとに分かれた12の章で紹介されている。
その70%が食べ物、残りの30%が改築工事の遅れについての物語と言ってよい。
でもそれらがユーモアたっぷりに、日差しとミストラル(この地方を吹きまくる、冷たく威力のある突風のこと)で味付けされていて、読者はプロヴァンスに行かないと、ひどく損をしている気分になるのである。
長年切り盛りしてきたレストランのおかみがもう店じまいしてしまうという時に、すぐに食べに行かないでどうするのか?!
プロヴァンスのワインは何としてでも飲まなければいけないし、オリーブオイルたっぷりの食事をして、森のキノコたちを味わなければ、人として一人前でないという気持ちになるのである。

なるほど、著者は旅行者ではない(イギリスからの移住者である)が、この本によって旅行者を量産したことは確かである。
私も、フランス語を勉強してでも一度はいかなければと、再確認したところである。

にほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へ
にほんブログ村

クリックしてくださると、励みになります。
ありがとうございました!

 私の単行本はどこへいってしまったんだろう・・・?
もう一冊文庫本で買いました!
私の持っている人は、Please 返して!

|

« イタリア料理が好き | トップページ | 歌う船 »

ルポ・旅行記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/551582/47443332

この記事へのトラックバック一覧です: 南仏プロヴァンスの12か月:

« イタリア料理が好き | トップページ | 歌う船 »