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2010年1月25日 (月)

プロヴァンスの小さな家

― サンセット・ハウス物語 ― /レディ・フォーテスキュー/

最愛の夫を亡くして2年後、いつまでも悲しみに浸ってばかりではいけない。
夫もそれは望んでいなかったはず。
でも夫と作り上げた今の家は、あまりに思い出が多すぎて辛くなる。
著者の『プロヴァンスの青い空と海』に続く、2冊目の本です。

ある日散歩に出かけた著者は、小さな石造りの農家に一目ぼれをする。
人が住んでいるにもかかわらず、『これこそ私の家』と直感する。

新しく友達となったアメリカ人の友人『マドモアゼル』に手伝ってもらって、値を吊り上げようとする持ち主と交渉し、年代を活かした好みのデザインに改装し、引越しの手続きを進める。
自分も村の住人であることを意識して、今回はなるべく村の職人を雇い、ぼろぼろだった農家を少しずつ住みよく変えていく。
前の持ち主に捨てられていたちっちゃな鍋に花を植えたり、鉄製の玉じゃくしをランプの代わりにしたり、知恵と想像力を駆使し、不用品を上手に使って、家の装飾を楽しんだ。

今回の著者の心の支えとなるのは、その卓越した芸術的なセンスで尊敬している、サンセット・ハウスの隣人『マドモアゼル』である。
彼女は動物も愛し、イヌやアヒル、ニワトリたちと暮らす。
素晴らしい職人を紹介してくれ、サンセット・ハウスを建築中の間、彼女のシャトーに住まわせてくれる。

著者が疲れていると感じると、避暑や家具探しに誘って、気分転換をさせてくれる。
シンプルで何もない生活の贅沢さを知っている。
不思議な治癒力を持った気功師ニコラや、プロヴァンス中をまわって客の好みの品物を見つけてくれるサントロぺの骨董屋などを紹介してくれる。
村の人たちへのプレゼントに気を配り、困っている人には仕事を見つけてあげる。

そんな友人に励まされながら、そして時には著者が病気にかかった友人を看病しながら、サンセット・ハウスの改築をめぐる職人たちとのやりとりや、庭師や留守番、お手伝い、元の家主などとの交流が綴られている。

私が特に好きなのは、最後の章のイヌの描写だ。
『庭に通じるドアの外でせわしなくひっかく音がしたかと思うと、なにか小さなものが体当たりをしてきた。スクィブが私のひざに飛びあがってきた。彼女は私の頬といわず耳までペロペロなめてから、いつもするようにニッと笑った。笑うシープドッグなんてこの子くらいなものだろう。ふさふさとしたしっぽをひきちぎれんばかりに振って、「来ちゃった、来ちゃった……」と挨拶した。
 スクィブが来たからにはマドモアゼルも一緒のはずだ。ドアのすきまから彼女の笑顔が現われた。
「晩ごはんにおじゃましてもいいかしら?」』
これだけでも、マドモアゼルだけでなくイヌを飼っていない著者も、動物が大好きなのだということがわかる。

この後時代は第二次世界大戦に向かって進んで行き、著者の平和な生活も大きく変わっていってしまうのだ。

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  Sunset_house

この本も絶版です。
扉絵と口絵はシェパード(クマのプーさんの著者)、表紙はB.サンダース。挿絵はありません。

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