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2010年2月

2010年2月28日 (日)

ドクター・ヘリオットの素晴らしい人生 上・下

/ジム・ワイト/

獣医のヘリオット先生は、サースクに実在の獣医アルフレッド・ワイト(以下アルフ)が1970年代に50歳を過ぎてから書き、ベストセラーになった一連の本の主人公だ。
ヘリオット先生奮戦記 上・下

ヘリオット先生・シリーズは、ダロビーの村を舞台に、診療を頼みに来るさまざまな依頼人や動物たち、診療所の風変わりなパートナー、妻や子どもたちとの交流を短い章で描いたものである。
素晴らしい自然と、人々や動物たちの思いやりと愛情がユーモアがこめて描かれていて、楽しい読み物だ。

本の中では、モデルになった人の性別や名前を変え、村の名前もダロビーにしてあるが、アルフレッド・ワイトとその診療所はすぐにマスコミの知るところとなり、ファンが押しかけた。
アルフは、ベストセラー作家になってもそのライフ・スタイルを変えず、(めちゃくちゃ税率が高い当時のイギリスに住んでいたにもかかわらず)住所も変えず、65歳になるまで診療に携わっていた。

本書は、その息子で獣医の著者が書いた最初で最後の本で、『もし伝記を書くならば、それはおまえに書いて欲しい。おまえならきっと真実を書いてくれるだろうから。』と生前の父親に頼まれために書いた、とある。
そのため、この本の原題は『真実のジェイムズ・ヘリオット(The Real James Heriot: A Memorir of my Father)』である。

アルフの伝記は他にもあるが、たとえばジャーナリストのグレアム・ロードは『ジェイムズ・ヘリオット――田舎獣医の生活』(1997)を出している。
ジム・ワイトはその著書の下巻290ページで、グレアム・ロードの本について触れている。
それは、アルフが有名になってから、若い頃苦労をともにし、互いに助け合ってきた旧友、エディと不仲になってしまった原因についてだ。
ジム・ワイト自身、駆け出しの頃エディの診療所で働き、両者の関係を熟知している仲だ。
グレアムの本に書かれているエディの主張に対し、アルフの立場からの見方が描かれている。
何を根拠に論じるかで、これほど描かれ方が変わってしまうという、伝記の怖さが明確になる一例だ。

しかし、この本が書かれたのは、アルフの立場を擁護するためではない。
アルフをより正確に知ってもらうために、親族ならではの豊富な資料を駆使し、アルフのパートナーとして長年やってきた経験を生かした著者にしか描けない紹介なのだ。
多数の写真や手紙からの引用、そして発表されなかったいくつかの作品の紹介など、ヘリオット・ファンが楽しみながら、アルフという人柄とその人生をより深く知ることができる手掛かりとして、価値があるのだ。

人生に対し真面目に取り組んだ、ひとりの獣医のいきざまがそこに描かれている。
ヘリオット先生の物語は、温かみとユーモアがあって楽しい。
それを紡ぎだした男の人生も同じだけ温かみとユーモアがつまっているうえに、現実の話として説得力がある。

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2010年2月27日 (土)

グリムス:砂漠化

グリムスのキーワード:砂漠化

だった土地が乾燥して植物が育たなくなる現象をいいます。
現在地球の4分の1、それもどんどん広がっています。

原因は、気候の変化。
乾燥の主要因は、地球の温暖化とも言われます。

次に、人間の活動。
森林の伐採、放牧、農業(焼畑や塩害)などのことです。

対策として、植林、灌漑設備の拡充などが挙げられますが、果たしてどれほどの効果をあげていることでしょう。

といえば、先日ある生徒が授業中に見づらかったらしく、『先生、視力をよくするには、どうしたらよいのですか?』と質問をしました。
(最近の中学生は、年寄りの私よりもよっぽど眼が悪いのです。)
ふと思い出して、こう答えました。
『私は子どもの頃よく祖母に「遠くの緑を眺めなさい」と言われました。』
続けて『最近身近な緑が少なくなりましたね。幸いこの学校は、緑に囲まれていますが。』
すると別の生徒がひらめいたらしく、『ああ、だから黒板は緑色なのですね!』
『遠くの緑』と聞くと、そうとるのか。

黒板で眼が良くなる生徒が続出するといいな、と思います。

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2010年2月26日 (金)

銀座ミツバチ物語

美味しい景観づくりのススメ   /田中 敦夫/

久しぶりに、応援したくなる環境プロジェクトを知った。
この本は、サイエンスというほど客観的ではないので『エッセイ』のジャンルに入れてみたが、単なる個人の体験・感想の域を越えている。
周囲の人を巻き込み、自分を信じて元気にプロジェクトの実践を続けていて社会的な影響が大きく、ニュースにもなり、ハチミツは驚くほど採れ、プロジェクトはさらに拡大していく様相を示している。
環境運動というと地道であるし、何のための運動なのかの軸がずれて形骸化したものも多い中、確実に成果をあげている点が注目すべきである。
また関わりのあった人々の発想を試行錯誤しながら実現し、知識と経験を吸収し積み重ねながらさらに多くの人を巻き込んでいく運動の発展に、熱いものを感じる。

著者は株式会社紙パルプ会館の常務取締役で、銀座でミツバチを飼おうとしていた養蜂家、藤原誠太さんの話を聞いて、屋上を貸すことに決めたことからすべては始まったそうだ。

銀座のような人通りの多い所で、針を持ち危険性のある動物を飼えるのか?
銀座にミツバチの餌など、存在するのか?
しろうとが、ビルの屋上などで養蜂などできるのか?

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2010年2月25日 (木)

グリムス:つぶやき

今日のグリムスのキーワード:食物連鎖

再び挑戦。昨日はまたドードーの訪問だった模様。
さて、今日は徹夜明け・・・
もう駄目です。
おやすみなさい。

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2010年2月24日 (水)

グリムス:お客さまでした

今日のグレムスのキーワード:食物連鎖

絶滅動物で、ドードーが訪問してくれました。
ところが私はまだ職場。

これから終電で帰ります。

ドードーの記念写真

20100224

ようこそ!

食物連鎖については、いろいろ語りたいことがあるのですが・・・
宇井純の『公害原論』とか。

でも今は生活に追われているので、またの機会に・・・

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2010年2月23日 (火)

グリムスがリニューアル

グリムスのキーワード:絶滅動物


グリムスが昨日おかしくなっていて心配だったのですが、HPがお引っ越しだったようです。
私の木は、順調に成長中でした。
ところが!
私自身がただいまアップアップなのです。
そう、学年末テストの問題作り。
ここ2日は、余裕のない生活になります。
それなのでブログでは、グリムスの『お客さま』をご招待することにします。
さて、『絶滅動物』で訪れるお客さまとは?

ところで絶滅動物といえば、先日書いた『鼻行類』のハナアルキ目の動物たち。
かわいらしかったのに、残念なことですね(ということにしておこう)。
そして、日本のトキ。
近年まであんなにいたのに、これも残念です。
でも考えてみれば、この地球上で絶滅してしまった動物たちは数限りないのです。
『プレヒストリック・パーク』でナイジェルが『絶滅した恐竜を救うのだ』と頑張っていましたが、ずべての恐竜が絶滅してしまったのですから、どの恐竜を救うのか決めるのは、実は大変なんことなのです。
でも、身近な動物たちが絶滅する時期を少しでも伸ばそうと努力したい心情はわかります。
動物たちは目立つし愛着もわきやすいので、いわば環境を意識するためのシンボルなのです。

次回は、環境の変化にとても敏感といわれるミツバチの本について、書いてみたいと思っています。

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2010年2月22日 (月)

鼻行類

新しく発見された哺乳類の構造と生活
/ハラルト・シュテュンブケ 著    日高敏隆/羽田節子 訳

最初に発行されたのは、1961年。
翻訳には1972年版を用いたそうである。
訳者は、ソロモンの指環も翻訳している。

内容は、近年になって新しく発見された哺乳類の中でも独特なグループ(目)に属する『鼻行類』の生態に関するレポートで、綿密な資料と図版によって裏付けされた学術書である。
目というのはかなり大きなグループで、たとえば食肉目(ネコ目)にはネコの仲間はもちろん、イヌやハイエナ、クマ、イタチ、スカンク、レッサーパンダ、アシカ、アザラシなどが含まれる。
これだけ大きなグループの発見がなぜこんなに遅れたのかというと、鼻行類が南海のハイアイアイ群島にのみ分布し、その群島そのものが1941年まで知られていなかったからである。
最初の発見者は日本軍の捕虜収容所から脱走し、総面積1690平方キロメートルのこの群島を発見したのだ。
そしてこの島の唯一の哺乳類が鼻行類だったのである。

鼻行類(ハナアルキ)の特徴は、鼻が特殊な進化をしているという点である。
現在14科189種が発見されているが、ほとんどが鼻を運動器官として用いている。
ガラパゴス諸島のダーウィン・フィンチは嘴が多様に進化したが、ハナアルキの多様性はさらにすごい。
ムカシハナアルキだけは、トガリネズミに似た生活と体型で、鼻は強大だが餌を採るときにのみ用い、移動には四肢を使う。
他の種は、鼻を使ってナメクジのようにはいずるもの、移動せずに鼻を地面につけたままで暮らし尾から出す分泌物で小さな昆虫をおびき寄せて捕食するもの、水中に住んで長く伸びた鼻を呼吸器に使うもの、関節のある鼻を使って跳ねまわるもの、大きな耳でハチのように羽ばたきながら飛びまわり長い鼻で蜜を吸うもの、逆立ちをして4本の鼻を地面につけ歩きまわるもの、6本の鼻を周囲に長くのばして広げ昆虫などを捕食をするものなど、形態から生活様式まで多岐にわたる。
食性も、主に昆虫食だが、プランクトン食から果実食、風変わりな共生までいろいろである。
大きさも、シャコ貝に寄生するごく小型のものから、体長2m以上のものまでいる。
全113ページ中の84ページまでが、各グループの移動方法、食性や生殖などに関する報告で、そのあと1940年代と50年代の参考文献が続く。

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2010年2月21日 (日)

どうぶつ学名散策

/小森 厚/ 

動物たちの学名についてのさまざまな蘊蓄を、著者の実学上の豊富な知識と、長年にわたる資料の研究に基づいて書かれた本である。
著者は、長年上野動物園や多摩動物園に勤務しラベルの仕事を担当してきた方である。
仕事上必要になってラテン語やギリシア語を独学で学び、学名というものに一般の読者も気軽に親しめるように工夫して章だてをし、興味深い例をたくさん挙げて紹介したものである。

まずリンネの二名法の紹介から始まる。
次に、数に基づいたもの(1はイッカク(角がひとつ)、2はサイチョウ(嘴がふたつ)など)、色彩に基づいたもの(ダイサギ(白いサギ)など)、鳴き声からつけたもの(カッコウの属名ククルスなど)、地名に由来するもの(トキはニッポニア・ニッポン、ニホンジカはケルヴス・ニッポンなど)、神話や聖書からとられたもの、それはもう多岐にわたり、さまざまなおもしろいケースが列挙されていく。

著者は、自分が動物園で取り扱ってきた哺乳類、鳥類の割合が多くなってしまったと書いているが、魚類、昆虫類も出てくるし、日本固有種から外国にしかいないものまで、扱う動物たちの範囲は広い。
巻末の索引を数えてみたら、哺乳類125種、鳥類89種、爬虫類13種、両生類7種、魚類15種、昆虫類18種、昆虫以外の無脊椎動物10種、植物7種であった。

単に学名を列挙するのではなく、なぜその学名がついたのか、その由来も詳しい。
たとえばゴクラクチョウはインドネシアからパプア・ニューギニアにかけて分布する鳥なのだが、その1種のオオフウチョウは『あしのない、極楽の鳥』という意味の学名がついている。(英名も、バード・オブ・パラダイスという。)
それは、1700年代にヨーロッパに送られた剥製は、その飾り羽を傷つけないように足を切り取った状態で箱詰めされていたからである。

学名の紹介のみならず、頻繁に出てくる動物そのものの紹介がまた興味深い。
たとえば、『~がない』という意味で学名がつけられた例としてアシナシトカゲが登場するが、そこでトカゲとヘビの違いなども説明してくれる。
ちなみに、アシナシトカゲは足がなくひょろ長い生物でみかけはヘビのようだが、れっきとしたトカゲなのである。
ワライカワセミの鳴き声を録音しようとしたときの苦労話も、動物園勤務をしてきた著者ならではの逸話である。

さらに、本に豊富に載っている挿絵が美しく、分かりやすい。
挿絵は本田公夫氏によるものである。

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2010年2月20日 (土)

グリムス:今日のキーワードは『植林』

グリムスのキーワード:植林

先日映画を見に行った時、始まる前のコマーシャルで、植林活動の紹介がありました。
場所はマレーシアでしたが、植林前の現地の航空写真と現在のそれとを比較して映され、さすがに温かい国では木々の成長が速いと実感しました。

植林といっても、材を採るための単一植栽はあまり環境にいい影響を与えません。
そこの生態系が単純なものになってしまうからです。
本当は土地を放置しておいてそこに自然に生育する植物から成る林(一次林)がそのの土地に合った生物相も形成できてよいのだろうけれど、人の手が入ることによって維持される林(雑木林などの二次林)もけっこう味があってよいものです。
最近住宅地への開発などで、こうした二次林が日本の各地で減少していることが問題になっています。

古都鎌倉でも、ずっと長いこと維持されてきた寺社の森や、急な崖の周辺に残っていた雑木林が最近になって開発され、見るも無残なコンクリートで固められたものに変わってきました。

植林もいいですが、まず木を伐らずに、古い森をずっと残していきたいです。

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2010年2月19日 (金)

実験:電熱線

中学2年生の『電流と電圧』の学習に電熱線を使った実験がありますが、生徒は電熱線をバネと勘違いして伸ばしてしまいがちです。

そこで、技術の先生に板を切っていただいて、板に貼り付けてみました。

500w

500Wの電熱線を、ヒートンで固定したものです。

こうするとけっこう大切に扱ってくれます。
板に取り付けるのに、最初は銅の釘にしようかと思いましたが、ヒートンの方がしっかり固定できるし、作業も楽なことがわかりました。
真鍮のヒートンを使って抵抗値を求めてみたら、余り影響もないようでした。

さらに、板に貼り付けると抵抗の記号と形が似てくるし、ヒートンの部分が大きいので鰐口クリップをつけやすいという利点があります。

Photo

500Wと300Wを並列につないだところです。

Photo_2

『電熱線の温かさを感じてみて』と言うと、生徒は上の写真のように、電熱線の下に手を差し込んでしまいます。
そうすると電熱線を伸ばしてしまうこともあるので、『上から触ってね』と付け加えるようにします。

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2010年2月18日 (木)

グリムス:ノートチェックが続いています。

グリムスのキーワード:ゴミ分別

関東地方は朝、雪が降っていました。
神奈川県公立高等学校の後期選抜の日でしたが、試験の日は毎年のように天気が悪くなるので、生徒が気の毒です。
幸い今年は降りもひどくなく、午後はいい天気になりました。

私の方は、今日もノートチェックです。
生徒たちがノートの返ってくるのをとても楽しみにしてくれているし、毎回内容のレベルが高まってくるので遣り甲斐があるのですが、延々と続くチェック作業はつらいです。

学校というところは本当に書類が多く、生徒たちも教員たちも大量のプリントを毎日受け取り、その整理に追われています。
私たちの学校では、教室に『ミックスペーパー』と書かれた箱を置いて、そこに使わなくなったプリントを伸ばして入れることにしています。
1か月に一度、保健委員(美化委員も兼ねています)が回収し、資源ゴミとしてまとめて処分をしています。

生徒会主催で、空き缶やペットボトルのキャップなども集め、車いすやワクチンなどに換えています。
生徒たちのエコに対する意識は、かなり高いです。

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2010年2月17日 (水)

グリムス:お客さまです

グリムスのキーワード:エコマーク

今日もまた、たくさんのノートに埋もれておりました。
そして、これからもまだ、持ち帰りのノートチェックです。
本ブログはまたちょっとお休み。
今週いっぱいはだめかも。
ふう。

さて昨日のキーワードで、お客さまのチョウがブログパーツを訪問中です。
ようこそ。
記念写真は、《続き》の下です。
クリックして、ご覧ください。

今日は食材を買ってきたので、お題は『エコマーク』。

Photo

そう、これです。
ご覧になったこと、ありますか?
地球を優しく抱きしめている、というデザインです。

エコマークは、平成元年にできて、現在約5000種類の商品につけられています。

ペットボトルリサイクルなどに代表されるの『環境マーク』のひとつです。
エコマークの場合、その商品が製造や販売過程で環境に配慮したものになっているかを審査し、合格の証としてつけることができるのです。

エコに興味をもっている人々が、商品を購入する際に参考にできるのです。

審査基準などを決めているのは、財団法人 日本環境協会の エコマーク事務局です。

審査するのは、中立な立場の第三機関の人ですが、公正を保つために審査員の氏名は公表されていません。

以上は、日本環境協会のHPを参考にして書きました。

これから何かを買う場合、チェックして参考にしていきたいと思います。

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2010年2月16日 (火)

グリムスのキーワード

グリムスのキーワード:京都議定書

昨日のブログをご覧になった方は、ウサギが訪問していたのにお気づきになったはず。
グリムスでは、キーワードがブログに書かれると、さまざまなお客さまがそこを訪問してくれるシステムになっているのです。
そうあのウサギは、『オゾン層破壊』に反応して、1日だけ訪れてくれたのです。
でも特別なカメラで、動画付きで記念写真を撮っておきましたので、よろしければ『続き』をクリックしてご覧になってください。

さて今日は仕事がとても忙しくて、ゆっくり好きな本を紐解いて、バラバラにしている暇がありませんので、次のお客様を呼んでみましょう。

京都議定書は、1997年に京都で開かれた国際会議で採択されたものです。
先進国諸国が地球温暖化に対して歯止めをかけるために、先進国全体で取り決めをしたものです。
でもいくつかの国、たとえばアメリカやオーストラリアは加わりませんでした。

内容は主に、温室効果ガスの規制。
温室効果ガスとして特に有名なのは二酸化炭素ですが、他にもいくつかあり、ここでは6種類について取り決めをしました。
6種類とは、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄です。
 

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2010年2月15日 (月)

うーらのオーガニックレシピ手帖

/庄司智子/

野菜たっぷりで、手軽にできるお料理のレシピ集です。
著者は、一般企業でWEBデザインの仕事をしているOLさんで残業が多く、健康のために外食を避けておうちごはんを作っては、ブログに投稿しているうちに、すっかり有名になって本も沢山出すようになった・・・という経緯のようです。

野菜料理の本はたくさんあり、野菜好きの私もいっぱい買いましたが、中でもよく出して使うのが『あな吉さん』と、この『うーらさん』の本なのです。

うーらさんのレシピは、まずセンスが良い。
『こんな作り方もあったんだ』という、眼からウロコ、簡単かつおしゃれな、本として買う価値のあるものがいろいろ載っています。
(もちろん、ホームページもお薦めです。)
『ooLife オーガニックレシピ手帖』

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2010年2月14日 (日)

グリムス:オゾン層破壊

また、息抜きのページ。
今日は、『オゾン層破壊』という題で作文をしてみる。

ずっと以前、とある途上国で、現地の子に2年間ほど理科を教えていたことがあった。
そのとき、小さな島にある村に招待されて、そういう所にはホテルなんかないから村人の家にホームステイしていた。
夜、海岸に集まって、村の長老たちと話をする機会があった。
砂浜で、暗い海と星空を見ながら、みんなで座って語り合った。
『わしらの村の将来について、何を思ったか?』といった、けっこう真面目な話題で話したのだ。
一介の若者が、長老とこんな話を交わせるなんて、すごい機会だと感動した。
(そのときのことについて、又の機会にもっと詳しくご紹介したい。)

そのとき一人の老人がこう聞いた。
『なにやら、空に大きな穴が空いていると聞くが、どういうことじゃ?』
あ、オゾン・ホールのことだな、と思った。

『ホワイト・ピープルの活動の影響で、ノース・ポールやサウス・ポールの上空には、かなり大きな穴が空いてしまっているらしい・・・』
そんな風に、説明を試みた。
『スプレーとか、冷蔵庫などから出るガスが原因らしい・・・』
『わしらは、どうしたらいい?』
『それが、別に何も・・・』

その国は南緯10度に位置していて北極や南極からは遠いが、人々は戸外で暮らすことがとても多い。
どれ程の紫外線の影響を受けてしまうことだろうか
それなのに、村の人にはどんなアクションができるというのだろうか。

オゾン層破壊の原因は、冷媒として使われていたフロンがまず挙げられる。
フロンは冷蔵庫、エアコン、車などに使われていた。
(今は多くの国で全廃になっている。
 でも、そうでない国もまだある。)

私が住んでいたのは、とても暑い国だったが、エアコンにはほとんどお目にかからなかった。
確かに冷蔵庫はあったし、私も(友人と共同で)ひとつ持っていた。
電気冷蔵庫ではなく、エネルギー源が灯油の冷蔵庫だった。
灯油を燃やしてモーターを動かし、冷却するのだ。
電気の供給が乏しい所で暮らしていたためだ。
普段はいいが、最後にその冷蔵庫を廃棄する時がくれば、フロンが放出されるだろう。
しかし、島の多くの人々は冷蔵庫なんか使っていなかった。
私たちのような外国人か、商店のみで使われていたのだ。
ほとんどの人はフロンに関係ない生活をしているのに、今地球のオゾンには穴が空いてしまったのだ。

ホワイト・ピープル(先進国の人々のことをこう呼ぶ)が快適に暮らそうとしてきたために、みんなのものである地球がどんなに壊れてきてしまったのだろう・・・
説明しながら、改めてそんなことに気付き、申し訳ない気持ちで一杯になった。

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実験:電池の解剖

選択理科の時間に、電池を解剖した。

アルカリ電池よりもマンガン電池の方が、危険も少ないし、解剖しやすい。
また使い終わった電池の方が、薬品が乾燥していて解剖しやすい。

★ 電池の中の薬品は危険です。(特にアルカリ電池)
  手や衣服に付いた場合、すみやかに洗い流してください。
  

金属を切ったときに、端で怪我をすることがあるので、軍手をはめて行った。

まず、アルカリ電池の解剖から。↓

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のみなどを使って金属に傷をつけて、そこから切り裂いていく。

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生徒によっては、リンゴの皮をむくように、上手に金属を剥く者もいる。

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9Vの直方体の電池も解剖してみた。

6_2

小さい電池が6個まとまっている。
1.5V×6個=9V というわけだ。

7_2

パネルにまとめた。

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次は、マンガン電池。

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2010年2月13日 (土)

ヘリオット先生奮戦記

/ジェイムズ・ヘリオット/

著者名はペン・ネームだが、実在の獣医による体験談を小説にしたものだ。
1916年にスコットランドのグラスゴーに生まれ育ってそこの獣医大学を卒業し、獣医助手を募集する広告を見て、1937年にノースヨークシャーの山間部にやってきた。

短気だけれど人のよい獣医、シーグフリード・ファーノン先生と、その弟で頭がよいのに怠け者のトリスタンと『私』の3人の、珍妙な暮しが始まる。
頑固だけれど優しい村の人たち、個性に満ちた動物たち、そしてイギリスの田舎の美しい自然に囲まれて。

獣医の仕事を始めるとすぐ、大学の教科書にはまったく書かれていなかった汚れ仕事、不測の事態、厳しい自然に直面して、『私』の心に後悔がよぎる。
しかし動物や村人たちとの心の交流や往診の行き帰りの自然の豊かさに触れて、『私』は次第にその仕事の素晴らしさに目覚めてゆく。

ひとつひとつのエピソードが、ユーモアと愛情に満ちた筆運びに彩られている。
この本は、電車の中などでは読まない方がいいかもしれない。
読んでいて、思わずくすくす笑ったり、吹き出してしまう危険がある。
私は寝る前の楽しみに、少しずつ読むのが好きだ。

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落語:彌次郎

/古今亭 志ん生/昭和31年NHKライヴ録音(5月6日中部日本放送)コロムビア

志ん生の音源は、CDで沢山持っているのだけれど、『彌次郎』を入れたシリーズはなかなか見当たらない。
これは、『決定盤 志ん生落語集<5>』に、『鰍沢』や『甲府い』とともに収められている。
音はあまり良くないが、聴いていてとても楽しい。
志ん生66歳。
脳溢血になる前の、あぶらの乗り切った時期の録音だ。

大ぼら吹きの弥次郎とその友人の掛け合い、という設定だ。

『今日は駄目だぜ、いつものようなことばかり言ってちゃ。どうもおまえさんの嘘にはひっかかっちまう・・・』

のんびりした語り口で、ひとなっつこそうに語り始める。

『ここのところちょいと見えなかったけど、どこへ行っていたの?』
『ええ、北海道のずうっと奥の方へ行っていました。』
『あっちは、寒いだろうな。』
『寒いだろうな、なんて疑るような寒さじゃありませんよ。
 なんでも、こう、凍っちまうんだから。
 お茶なんぞ、おあがんなんて言いませんよ。
 お茶をお齧んなさいまし。』

観客も素直で、にぎやかに笑いさざめく。
活気に満ち溢れ、ひょうひょうとした、志ん生らしい高座だ。

笑いと語りがいいリズムで調子を合わせ、大ぼらの風呂敷が広がっていく。
その想像力は、留まることを知らない。
ぐいぐい観客を引っ張っていく。

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贅沢の探求

/ピーター・メイル/

著者がプロヴァンスに移住する前に構想ができていたということで、田舎暮らしを楽しむエッセイストのものというよりも、マンハッタンとロンドンを股にかけていたコピーライターらしい内容だ。
いわゆる『贅沢』をテーマにしたもので、リムジンや愛人から手作りの靴やシャツまで25種が紹介されている。
私には手が届かなかったり価値を見いだせないものから、何とかなりそうなものまでいろいろあるが、知らなかった世界について楽しく紹介してくれていて、興味深く読めた。

中でも、ロンドンで誂える1足10万円以上の靴や、11万円以上のスーツ、パリでオーダーメイドする3万から4万円のワイシャツなどの章では、あくまでも客が心地良いように配慮してくれる、こだわりのある職人技について語られていて、それだけで一読の価値がある。

2人で3泊4日20万円の、ロンドンはコノート・ホテルにも泊まってみたい。
豪華というよりもイギリスならではの、洗練され落ち着いていて居心地のよい、上質な雰囲気を味わえるというのだ。
(ネットで調べてみたら、1泊5万6千円くらいで泊まれるようだ。
 ロンドンを訪れたら、試してみたいものだ。)
著者は、維持管理の大変な別荘を持つ代わりに、コノートの常連になることを薦めている。

タバコは吸ったことがないが、葉巻についての章を読むと、一度は味わってみたいという気持ちになる。

友人に連れられ自家用ジェット機を使って、プロヴァンスから突然100キロ離れたマルセイユまで昼食にブイヤベースを食べに行く話も、壮大な浪費であることは分かっていながら食べるものへのこだわりが痛快だ。

そう、何といってもこの著者は、食に関する話になると筆が冴えるのだ。

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2010年2月12日 (金)

実験:消える青色

実は私、中学校で理科を教えています。
読書備忘録とは関係ないけれど、理科の実験に関する覚書も載せてみます。

水500mlに次のものを溶かす。

水酸化ナトリウム10g
ブドウ糖10g
1%メチレンブルー/エタノール溶液少量
(メチレンブルー1gを10mlのエタノールに溶かす)

以上を蓋のできる容器に入れてよく混ぜ合わせる。

振って空気中の酸素と混ざると、メチレンブルーは青色になるが、しばらく経つと色が消え、無色透明になる。

2~3日は繰り返し反応させることができるが、古くなると色が黄色っぽくなり、反応しなくなる。

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水酸化ナトリウムやブドウ糖、およびメチレンブルーの量の微妙な違いにより、色の消える速さや色味(青から紫まで微妙に異なる)などが変わる。

ブドウ糖が多めだと、還元されて色が消えるのが速くなる。
青い色がスゥッと消える瞬間が好きだ。

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2010年2月11日 (木)

ハチはなぜ大量死したのか

/ローワン・ジェイコブセン/

たくさんのデータ、慎重な分析をもとに、とても綿密に書かれた科学書。
ミツバチの生態のみならず、現代社会の農業のありかた全般にまで言及する、幅広い視野で書かれている。
2009年1月発行。
雑誌の見出しのようなタイトルから連想される、大衆向け情報誌とは一線を画している。
(多くの人が邦題よりも、原題の『実りなき秋』にすれば良かったのに、と残念がっている。私もその一人だ。)

出だしは、不気味な事件から始まる。
2006年から世界中を席巻した、セイヨウミツバチの大量死についてである。
死というべきかもわからない。
巣箱から大量の蜂蜜を残したまま、ミツバチたちが消えてしまったのだ。
はじめ自分が飼い方のどこかで誤りを犯したのかと恥じていた養蜂家たちは、この現象が世界的なものだと知ってあわてる。
原因は何だろうか。
地球温暖化?
遺伝子組み換え作物?
それとも、オゾン層の破壊?

この本では、簡単に結論に飛びつかず、まずミツバチたちの生活から詳しく説明をしている。
その中で、53ページから4ページほどにわたって書かれた、さなぎから孵ったばかりのミツバチの立場から見た世の中の描写が好きだ。
みつばちマーヤの冒険のように、ミツバチの目で世界を描いている。
まるで童話のような1シーンだが、まさしくミツバチの生活なのだ。
仕事に従事し、突然命を失う。
わずか6週間の短い生命の物語だ。

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2010年2月 8日 (月)

日記:鎌倉散策

息抜きのページ。

2月になって育て始めたグリムスは、バレンタインが近いせいか、ハートがバックに飛び交っています。
エコ・キーワードを記入すると、お客様が木を訪問してくれるらしい。
たとえば、『エコアクション』とか。

私の小さなエコアクションは、ペットボトルを持たない散歩、かな?
日曜日に、ポットと抹茶と茶筅と茶碗を持って、鎌倉に出かけた。
駅前の豊島屋さんで、かぶらの主菓子と草もちを買った。
天気も良く、散策日和。

季節がら、
ウメ、ツバキ、スイセン、ミツマタ、フクジュソウなどが見ごろ。

鎌倉雪の下から朝比奈の方へ歩き、杉本寺、報国寺、浄妙寺をまわってきた。

以下その記録です。


最初に行ったのが、杉本寺
急な階段が特徴。

Photo_2

 

Photo_3

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2010年2月 7日 (日)

寂しいマティーニ

/オキ・シロー/

お酒にまつわる、21篇のショート・ショート。
都会に生きる男と女の恋愛をめぐる駆け引きがテーマで、ちょっとお洒落な雰囲気を楽しめる。

表題の『寂しいマティーニ』。

『わたしは、オリーブのささったスティックを人差指でグラスのふちに固定し、最初のひと口をゆっくりとすすった。冷たく、とろっとしたマティーニが、滑らかに舌にひろがっていく。そして、すっかり丸くなったジンの青い香りが、ふわっと鼻に抜ける。相変わらずうまいマティーニだった。』

酒飲みの醍醐味がここにある。
大酒のみではない。
うまい酒、雰囲気のある酒のことだ。

この章で取り上げられるのは、オリーブを抜いてすっきりさせたタイプのマティーニだ。
なぜそのマティーニが寂しいのか。
オリーブのない寂しさだけではない。
本を読んでください。

そんな短編が21杯分も、あなたを待っているのです。

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2010年2月 6日 (土)

南仏プロヴァンスの木陰から

/ピーター・メイル/

著者のプロヴァンスものの2冊目です。
訳者は前著『南仏プロヴァンスの12か月』と異なりますが、同じ雰囲気で親しげに語りかけてくれます。
(今度原書で読んでみようかしら)

プロヴァンスに住んで3年目。
フランス語(というよりプロヴァンス語)も上達し、プロヴァンス人と上手に会話するコツを教えてくれます。

今回は季節にかかわらず、さまざまなエピソードをいろいろな場面から語ってくれます。
原題は『いつもプロヴァンス(Toujours Provence)』。
イギリス版とアメリカ版では、章の順番もちがうらしい。
でもどこから読んでも、プロヴァンスを満喫できます。

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2010年2月 5日 (金)

垂直の記憶

/山野井 泰史/  『岩と雪の7章』

クライマー山野井泰史自身が書いた、ヒマラヤの高峰にアルパイン・スタイルで登山することにこだわり、12年間に18回挑戦し続けた、その体験記である。

そしてこれは、凍傷で5本の手の指と右足全部の指を失い、トップレベルのクライマーとしての能力をなくしてから書いた本である。
事件は2002年に起きた。
彼がギャチュン・カン北壁に妻とともに挑戦し、九死に一生を得ることはできたが、代償として10本の指を失ったのだ。
その経緯は、沢木耕太郎のルポ『』に詳しい。

『はじめに』に、こう書いてある。
『今、僕は悪戦苦闘している。まるで小さな子どもが、初めて山や岩登りを知ったときのようだ。歩くスピードも遅く、岩を握る力もない。小学五年生のときから山に登り始めたが、あの当時よりも悲しいくらい登れない。』

それでも著者は山に、崖に、挑戦を続ける。
その不屈の精神、好きなものにとり憑かれた頑迷なところは、今の日本人にめったに見られない生き方であり、読者は新鮮な感動を覚える。

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2010年2月 4日 (木)

/沢木耕太郎/

アルパイン・スタイルという、ソロを含め少人数でパーティを組み、できるだけ少ない装備で短い時間で素早く登って降りてくる方法で、到達できる高さよりも美しいラインを描いて登ることを目的とするクライマー、山野井夫妻の物語である。
2008年の作品。
今から約一年前、店頭で手に取った『深夜特急』に夢中になり、次々と沢木の著書を読み漁った。
その多くが『酒』『スポーツ』『旅』に関するものであった中、『登山』をテーマとしているこの本は、ひと際異彩を放っていた。

『小説』のジャンルに入れようかとも思ったが、本人へのインタビューも含め丹念に資料をあたり、事実を積み上げてストーリーに仕立てていった手法を取っているので、『ルポ・旅行記』のジャンルにした。
ちなみに講談社ノンフィクション賞を受賞している。

山の美しさや厳しさといった魅力もよく描かれているが、特にこの本で素晴らしいのは、山野井夫妻の人間としての魅力である。

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2010年2月 3日 (水)

闇の左手

/アーシュラ・K・ル・グィン/

1969年に発表され、グィンのSF作家としての名前を確実にした一冊。
これをSFでないと酷評する人もいるけれど、私はとても素晴らしい作品であると思う。

コミュニケーション・ツールである『アンシブル』以外の機械類はほとんど出てこないが、著者は『ゲセン』という惑星の環境と、そこに暮らす人たちの両性具有という生態、それに関わって生じる特殊な社会と心理、そして外交使節として訪れたゲンリー・アイとの心の交流を細やかに描いている。

惑星ゲセンでの人々の暮らしは、ところどころに『民話』を挿入するという手法によって、物語の語り手ゲンリー・アイの観察者として見た目による情報だけでなく、地の文化を生で紹介してもらうという形で把握することができ、読者が『ゲセン』の歴史と人々の考え方や感じ方をよりよく理解できるように書かれている。

ゲンリー・アイは、主人公エストラーベンとともに、厳しい大自然の中を大移動する。
ここは雪と氷に閉ざされた世界だ。
『ゲセン』という惑星は、初期の入植者たちが両性具有という遺伝的実験を試すきっかけとなり、果ては中央社会『エクーメン』との交流が途絶えてしまう原因となった程寒さが尋常ではないところなのだ。
当然2人は生きることの限界にまで追い込まれる。
そしてそのとき2人の間には深い心の交流が生まれる。

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2010年2月 2日 (火)

ゑひもせす

/杉浦 日向子/

江戸研究家の著者は、駆け出しの頃、漫画を描いて口糊をしのいでいた。
最初の作品は『合葬』、1984。
それが見当たらないので、1990年のこの作品をまずご紹介する。
なにしろ彼女の作品は、いずれをとっても(たとえば『ソバ屋で憩う』)、おもしろい。

さてこれは『現代浮世絵師』と呼ばれた著者が、温かみのある図柄と斬新なストーリーで、他の誰にも真似ができない新鮮さをもって『江戸の庶民たち』を描いていたものである。

たとえば実らぬ初恋にじれながら嫁入りする箱入り娘、
若い頃の熱血ゆえに家族に迷惑をかけ自分は死にそこなった坊主の昔語り、
おいらんと武骨者のやりとり、
おいらんと薄情な男の色気たっぷりなやりとりなど。

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2010年2月 1日 (月)

歌う船

/アン・マキャフリー/

我ながら偏った取り上げ方だと思いますが、マキャフリーはSF小説の中でもとっつきやすいと思っているので、もう少しお付き合いお願いいたします。
次にご紹介する予定の『竜』のシリーズも素晴らしいですが、私はこの『船』シリーズが彼女の作品の中でも一番好きなのです。

生まれつき身体に障害を持っていたため、その身体から切り離されたヘルヴァの脳は、『頭脳船(ブレイン・シップ)』とく偵察船の脳となるべく育てられたのだ。
そして16歳の誕生日にチタニウムの殻の身体に入り、ついに船として生まれ変わる。
どんな素晴らしいコンピューターにも負けない、柔軟性と経験を積んだ宇宙船。
その頭脳で、音楽を愛し、恋に落ち、嘆きもし、ひとりの女性として生きていくのだ。

ヘルヴァの趣味は、オペラを歌うこと。
何百歳も生きる彼女たちブレイン・シップの頭脳たちは、船体に閉じ込められているという意味で『殻人(シェル・パーソン)』と呼ばれる。
それに対して、こうしたブレイン・シップを繰る操縦士たちは『筋肉(プローン)』と呼ばれる。
シェル・パーソンとプローン組み合わせは結婚のようなものである。
なぜなら彼らは大抵ペアで75年間も、ともに生活するからである。

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