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2010年2月13日 (土)

落語:彌次郎

/古今亭 志ん生/昭和31年NHKライヴ録音(5月6日中部日本放送)コロムビア

志ん生の音源は、CDで沢山持っているのだけれど、『彌次郎』を入れたシリーズはなかなか見当たらない。
これは、『決定盤 志ん生落語集<5>』に、『鰍沢』や『甲府い』とともに収められている。
音はあまり良くないが、聴いていてとても楽しい。
志ん生66歳。
脳溢血になる前の、あぶらの乗り切った時期の録音だ。

大ぼら吹きの弥次郎とその友人の掛け合い、という設定だ。

『今日は駄目だぜ、いつものようなことばかり言ってちゃ。どうもおまえさんの嘘にはひっかかっちまう・・・』

のんびりした語り口で、ひとなっつこそうに語り始める。

『ここのところちょいと見えなかったけど、どこへ行っていたの?』
『ええ、北海道のずうっと奥の方へ行っていました。』
『あっちは、寒いだろうな。』
『寒いだろうな、なんて疑るような寒さじゃありませんよ。
 なんでも、こう、凍っちまうんだから。
 お茶なんぞ、おあがんなんて言いませんよ。
 お茶をお齧んなさいまし。』

観客も素直で、にぎやかに笑いさざめく。
活気に満ち溢れ、ひょうひょうとした、志ん生らしい高座だ。

笑いと語りがいいリズムで調子を合わせ、大ぼらの風呂敷が広がっていく。
その想像力は、留まることを知らない。
ぐいぐい観客を引っ張っていく。

あんまり寒くて、小便が凍って棒になって出てくるので、トイレには小さな金槌が置いてある。
カモは池に凍りついてしまうので、鎌で足を刈りとってしまう。
刈ったあとから、翌年になると芽が出てくる。
カモメってわけね。
火事には水をかけてはいけない。
凍ってしまうから。
その凍った火事を牛の背中に束ねて載せて運んでいると、それが溶けてきて、牛が『モウ嫌だ。』
怒った牛方に追いかけられて山奥へ逃げると、裸の山賊に会ってしまう。
何とかそこを逃げ出すと、今度は大きなイノシシだ。
イノシシと大立ち回りを演じて殺した後、シシの腹から子どもが16匹出てくる。
『よくわかるね。』
ししじゅうろく、というわけだ。
『だって、お前、どうやって殺したんだ。』
『シシの急所、金を締めました。』
『だってお前、子どもが出てきたって言ったじゃないか。』
『あ、そうか。』
『男の腹からは、子は出ねえんだ。』
『そこが畜生のあさましさ。』

話はさらに続いていく。
オチはうわばみだが、なにしろホラ話なのでいろいろなバージョンがあるらしい。
何度聴いても飽きることなく、とても愉快に14分を過ごせる。
私が一番気に入っている落語である。
お聴かせできないのが、本当に残念です。


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今手に入れやすいのは、これでしょうか?


これは、DVDですが、落語の部分は静止画像のスライドショーになっているそうです。
でも欲しい!
2005年に出た13巻あるシリーズですが、今は品切れ、重版未定です。
出ていたの、知らなかったなぁ。
また出版されることを願っています。

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