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2010年2月13日 (土)

贅沢の探求

/ピーター・メイル/

著者がプロヴァンスに移住する前に構想ができていたということで、田舎暮らしを楽しむエッセイストのものというよりも、マンハッタンとロンドンを股にかけていたコピーライターらしい内容だ。
いわゆる『贅沢』をテーマにしたもので、リムジンや愛人から手作りの靴やシャツまで25種が紹介されている。
私には手が届かなかったり価値を見いだせないものから、何とかなりそうなものまでいろいろあるが、知らなかった世界について楽しく紹介してくれていて、興味深く読めた。

中でも、ロンドンで誂える1足10万円以上の靴や、11万円以上のスーツ、パリでオーダーメイドする3万から4万円のワイシャツなどの章では、あくまでも客が心地良いように配慮してくれる、こだわりのある職人技について語られていて、それだけで一読の価値がある。

2人で3泊4日20万円の、ロンドンはコノート・ホテルにも泊まってみたい。
豪華というよりもイギリスならではの、洗練され落ち着いていて居心地のよい、上質な雰囲気を味わえるというのだ。
(ネットで調べてみたら、1泊5万6千円くらいで泊まれるようだ。
 ロンドンを訪れたら、試してみたいものだ。)
著者は、維持管理の大変な別荘を持つ代わりに、コノートの常連になることを薦めている。

タバコは吸ったことがないが、葉巻についての章を読むと、一度は味わってみたいという気持ちになる。

友人に連れられ自家用ジェット機を使って、プロヴァンスから突然100キロ離れたマルセイユまで昼食にブイヤベースを食べに行く話も、壮大な浪費であることは分かっていながら食べるものへのこだわりが痛快だ。

そう、何といってもこの著者は、食に関する話になると筆が冴えるのだ。

まず何といってもトリュフ。
地元の庶民的なレストランで、ただ客が喜ぶからというだけの理由で、何万円分ものトリュフを『シェフのフレッシュ・トリュフ・オムレツ』として提供する話が素敵だ。

次にキャビア。
キャビアの詳しい紹介のあと、食べ方はできるだけシンプルに、冷やしてスプーンで口に運ぶことを薦める。
できればシャンペンとともに。
その小さな粒つぶが、口の中ではじけるところを味わうものなのだそうだ。
早速、次の誕生日にやってみよう。
では、誰と味わうか。
『という具合に考えていくと選択範囲はおのずと狭まってくる。親しい友人か、でなければこの世で誰よりも愛しい愛しい大切な人、つまりは自分自身。ひとりきりの夕食のメニューにキャヴィア、これは忘れがたい思い出となるであろう。』
なるほど。

それからモルト・ウイスキー。
シングル・モルトを、氷など使わずに、じっくりその個性を味わう。
入門として3つのシングル・モルトが紹介されている。
これも試していけそうだ。

最後は、パリ一高い庶民的レストラン、そして最高級のシャンペンについて。
シャンペンのテイスティング旅行についての手記である。
章のあちこちから、芳香が立ち昇ってくるようだ。

そろそろ私もパソコンの前を離れ、秘蔵のシングル・モルトを試す時間だ。


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惑星も育て始めました。
90日間でひと段落のようです。
これからが楽しみです。

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コメント

 靴にしてもホテルにしても、こちらが常用するものとは、ひと桁かふた桁ちがう話。
 モルト・ウイスキーならついていけそうな気がしますが、ねだんを聞いたら、「ゑ?」となるかも。
 この本、いちおう買ったのですが、縁がないな~、と積ん読状態です。
 しかし、この防備録を拝見すると、雰囲気だけでも贅沢してよさそうですね。

投稿: 風紋 | 2010年2月13日 (土) 12時59分

コメントありがとうございいます。
靴も服も、試着がめんどうなのでいつも同じものを1年に1度だけ2つずつ(着替え用に)買っている私なので、おそらく誂えにいくことはないと思いますが、いろいろな世界を知ってみるのは楽しいことです。
シングルモルトは、2000円台から手に入ります。
最近ハーフサイズ(375ml)のものも出ているので、いろいろ取り揃えてみる、ということもお手軽にできそうです。

投稿: 趣味の本屋 | 2010年2月13日 (土) 16時51分

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