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2010年4月29日 (木)

踏みにじられたユリ3

レディ・フォーテスキューは、素晴らしい人に巡り合うことが多いのです。
彼女の素敵な性質に人が惹かれるためか、彼女が人の素晴らしさを引き出す能力に長けているのか、彼女が単に運がいいのか、そこはわからないのですが。
おそらく、3つのすべてが当てはまるのではないでしょうか。

戦局が悪化する中、イギリスへ向かおうとする彼女をエスコートするのは、病気療養のために西インド諸島へ渡ろうとして、フランスで足止めをくっていたイギリス人の老将校です。彼はその大柄な体躯と、静かな思いやりで、著者を混乱から守り、導いてくれます。
プロヴァンスに留まりたい思いで帰国を渋る彼女に、『私は5月25日まであなたを待ちます。』と、きっぱり期限を言い渡すのです。
『私になぞかまわず、どうかお一人で帰国なさってください。』という著者に対し、『私はあなたを放ってはおけないのです。でも期限は5月25日までです。』と言い続けることで彼女の帰国を促すのです。5月25日というのは、これまでの経験から老将校が算出した、イギリスへ向かってフランスを脱出できる最終期限なのです。

とうとう運転手ジーンに送ってもらって、著者はプロヴァンスを発ちます。
ジーンも著者に忠実で、戦時中の大変な時に家族を置いて、最後の奉公をしてくれるのです。
愛犬ドミニーと、老将校とともに、イギリスへ向かう船に乗るべくフランスの海岸線を駆け抜けます。
次々と最終便が出てゆき、港は封鎖され、イギリスへ行ける港は限られていきます。
開いている港を求めて、入手しにくい状況をさまざまな人に助けてもらいながらかき集め、道路を北上していったのですが、反対車線はナチスに追われて南下してくるベルギー人でいっぱいで、北上する車はただ一台のみです。
とうとう何とか港を見つけた!と思ったら、ホテルで『ラッキーですね。ちょうどお部屋が空いています。たったさっきまで、すごい混みようだったのですよ。1時間前にイギリスへ向かった船を待って、たくさんの人たちが集まっていたものですから。』と言われてしまうのです。
仕方ない、次の船を待つしかない。
しかし今度は、ドミニーの検疫許可書が届かないという問題が勃発します。イギリスの検疫は厳しく、許可書があっても犬のドミニーは6カ月隔離されることになっているのです。許可書なしでは、上陸することもままならない。
『その素晴らしい犬なら、私たちが戦争の終わるまで喜んでお世話させていただきますよ。』と親切な人々は提案してくれますが、ドミニーなしでは、著者はやっていけないのです。夫を亡くした後、親友のマドモワゼルからもらった、彼女の一番大切なものだからです。混乱した郵便状況の中で、許可書が届くのを待つ緊迫した日々が続くのです。

今日はここまでです。
また、明日続きを書きますね!

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