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2010年6月

2010年6月26日 (土)

An Echo in the Bone 骨の中のこだま2

ひきつづき、物語の紹介です。

数日後、クレアが治療に使うヒルを捕っているとき(こういった詳細な部分が好きなのです。18世紀に生きるクレアの姿が生き生きと語られています)、ジェイミーがやってきてクレアを『スペイン人の洞窟』に案内してくれます。
この洞窟が何なのかは、ここで説明しないことにしますが、これから大切な役割をするものなのです。
また、クレアに手作りのナイフをプレゼントしてくれます。
クレアはそれをもらうために、1ペニー支払わなければなりません。
新しい刃物には、支払いをしなければならないとジェイミーが言うのです。
『そうすれば、それは主人を知ることになる。』

一方マンハッタンに駐在しているウィリアムは、ハル叔父から手紙を受け取ります。
ハルは、彼の養父ジョン・グレイの兄なのです。ハルについても、『死者から届いた日記』を読むとより詳しくその人柄がわかります。
ハルの手紙は簡潔ですがその中に一言、『ドッティーがよろしくと言っている』という文が意味ありげです。ドッティーはハルの娘、ウィリアムのいとこですが、ウィリアムにとって単にあいさつをもらった以上の意味があるようなのです。

ウィリアムは、いっしょに従軍しているいとこのアダム(ドッティーの兄です)と、町にくりだします。そしてそこで凄惨な事件の現場を見てしまうのです。
それは、ある酔っ払った将校が一人の娼婦の腕をつかんで家から引きずり出し、彼女をひっぱたき、『梅毒持ち!』と罵っていたのです。まさにその通り、娼婦の口元にはその病気特有の発疹が出ています。将校はアダムの知り合いらしく、アダムは『ローダム!』とその名を連呼し、ウィリアムも止めるために近づこうとしたのですが、梅毒(当時最も恐れられていた伝染病のひとつです)に興奮した群衆に妨げられ手をこまねいているうちに、なんとローダムがランタンを彼女に投げつけるのです!
ランタンの油を浴び、娼婦はたちまち燃え出します。何もできないうちに、彼女は叫ぶことを次第にやめ、真っ黒な死体となって横たわります。
怒りにかられ、我を忘れ、ウィリアムはローダムを殴りつけます。そして唐突に怒りの火が消えると、感情を押さえつけた声で『行け!』と怒鳴り、誰もいなくなった街路を後にします。ウィリアムの正義感が強く、行動的なところはジェイミーを彷彿させます。
アダムとウィリアムの2人は、黙って宿舎に帰りますが、気付くと2人は涙を流しているのでした。


さてクレアの方は、ビアズリー兄弟と結婚したリジーの2度目の出産を待っています。
兄弟と結婚した?そう、不審に思う方は多いと思いますが、ビアズリーは双子の兄弟で、リジー以外の人には見分けがまったくつかないのです。そして、どういったいきさつで一度に2人と結婚したのかは、前著『炎の山稜を越えて』をお読みください。
私はやはり、リジーのことをだらしないと感じてしまうのですが、クレアはヒーラー(治療師)として、しっかり面倒をみているのです。
でも今度の出産は前回と異なり、難産です。赤ん坊がとても大きいからなのです。
ほとんど医療技術が発達していない18世紀には、これはとても危険なことです。
最悪の場合、リジーを助けるために、生きている赤ん坊の頭蓋骨をつぶしてリジーの胎内から出す必要があるかもしれない。そう考えただけで、クレアは吐き気がします。
『それともまさか、双子?』自問自答しながら、クレアは出産を手伝うのです。

そしてついに、クレアとジェイミー、彼らの養子イアンの3人は、愛するフレイザー・リッジに別れを告げ、スコットランドへの船旅をするために旅につきます。


アメリカからロンドンに一時帰国したジョン・グレイは、ウィリアムからの手紙を受け取ります。
手紙がジョン・グレイ行きつけのレストランに届いたというところからして、怪しいのです。
他の家族に知られたくないどんなことを書いてきたのだろうと思って開封すると・・・


頑張れ、ウィリアム!
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2010年6月24日 (木)

An Echo in the Bone 骨の中のこだま1

ガバルドンの新作(といっても、出版されたのは2009年のことだけれど)。
今これを読んでいるところなので、少しずつ内容を紹介していきます。
ネタばれになりますが、私の斜め読みでは大したことないと思います。
私自身、翻訳が出ればすべて再読しておりますくらいなので・・・
すべてを全面公開する気はありませんし。
ただ、主人公たちの今後の動向が気になる方へ、ちょっとした情報提供です。

原書は全部で800ページあり、今130ページまで読んだところ。
字が小さく、本も重たく、寝る前に読むだけなので、ゆっくりとした更新になるでしょう。
以上の前置きにもめげず、読んでいただける方は、次をクリックして、本文にお入りください!


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2010年6月20日 (日)

踏みにじられたユリ5

前回は、『メニー・ウォーターズ』に住むことを決意したところまででした。

ここで再び、著者にとっての素晴らしい出会いがあります。
ロンドンの赤十字を訪れた時、背が高く、印象的で魅力的な女性が階段を下りてきたのに出会うのです。ビクトリア駅への道を尋ねると、その人は白髪で、自然なピンクの頬をしていて、澄んだ青い目で優しそうに物おじすることなくまっすぐ著者を見つめました。そして逆に著者に『フランスの兵士のための仕事を知りませんか?』と尋ねてきたのです。少しスコットランドのアクセントがありました。『私はずっとニースのスコッチ・ティー・ルームの支配人だったのです。』と彼女は謙虚に付け加えました。
著者は思わず首に抱きつくところでした。フランスにいた頃、そのまさに同じ喫茶店で、何度おいしいケーキを味わったことでしょう!
『私はフランスから帰ってもう1年も、イギリスでフランス軍を助ける仕事を探しているのですが、政府は私をいらないみたいなのです。だからウェイトレスか売り子でもしようと思っているのですが、仕事が見つからないのです。』
『私の所で働いて!』と著者は言います。『私もフランスから脱出してきて、人里離れた猟師の小屋に住んでいるのです。私は本を書く仕事をしているので、料理をする時間が無いのです。私の所に来て、面倒を見ていただけませんか?』
著者は彼女をとても気に入ったので、見せると言い張る紹介状も見ようとしませんでした。直感で、素晴らしい人だと見抜いたのです。しかも偶然、彼女はサセックスの妹のところに滞在していたので、『メニー・ウォーターズ』へはバスで行くことができるのです。
道でばったり会っただけで、これだけ素晴らしい人を見つけ出すことができるのですから、やはり著者には特別の才能があるという気がします。


引っ越しには、いくつもの問題がありました。著者は引っ越し業者に手紙を書きます。
『どうやって家具を運んでいただけるのかは、私にはわかりません。私は車道のない崖の下の小屋に住んでいます。そこへ行くまでの道も、大型トラックには狭すぎます。ラバかパラシュートぐらいしか私には方法が考えられないのです。でももし日程を決めて、私に屈強で忍耐強く勇敢で、私に対して親切で、どんな困難も笑い飛ばす男たちを送ってくだされば、何とかなるでしょう。もしも天候が良ければですが。そして、男たちが私の家まで家具を運んできてくれたら、ねぎらいのために一樽のビールを注文しておきます。』
さらに『湖のレディ(著者につけられた敬称です)』を助けるためになら何でもするという、熱心な隣人にも食糧その他の件で助けられ、道路状況の良い8月に天候にも恵まれて、引っ越しは大成功に終わります。
しかも、例のスコットランド人の女性に、とうとう政府の仕事が見つかるのです!せっかく見つけたメイドと別れなければなりませんが、著者は祝福して送りだします。

そしてやっと検疫期間の終わった愛犬ドミニーと『メニー・ウォーターズ』に落ち着き、この本の最後は1941年3月の著者の手紙(おそらく読者に宛てたもの)で終わります。
『私はこの手紙を、私の小さなグリーンの部屋で書いています。・・・かたわらには私の『黒ちゃん』がいます。・・・フランスの占領されていない部分と通信ができるようになり、今日私はマドモワゼルと話すことができました。彼女とスクイブは、孤独に城に住んでいますが、彼女が農民のために食糧を作り、スクイブはネズミを捕っていることでしょう。マドモワゼルは、アメリカの国籍を再び取り直すことに同意しました。今朝BBCニュースが、『アメリカはイギリスを援助する』という、ルーズベルト大統領の力強いスピーチを紹介しました。マドモワゼルは、どんなにアメリカを誇りに思うことでしょう。・・・』

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久しぶりの更新だけれど、やっと話が終了したからごくろうさま!
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2010年6月 2日 (水)

踏みにじられたユリ4

う~ん、お久しぶり!

とうとうレディ・フォーテスキューに、検疫許可書が届きました!
愛する黒いコッカー・スパニエルのドミニー(私の黒ちゃん)と船に乗って、イギリスに着きますが、それからドミニーは、6ヶ月間の隔離期間を過ごさなければならないのです。
著者は、兄(父の後を継いで、牧師です)の家へ滞在することになります。
愛する姪っ子たちの大歓迎を受けるのですが、著者はフランス軍が気になって仕方ありません。
フランス兵士が療養している病院を訪問して、雑誌や新聞を買って持っていったり、ラジオのニュースを翻訳してあげたり、ボランティア活動を展開します。
そんな病院訪問の最中でした。フランスがナチス・ドイツに占領されたというニュースを受けたのは・・・

さてレディ・フォーテスキューには、ロンドンで別の仕事もできました。
それは『プロヴァンスの青い空と海』を朗読して、『オーディオ・ブック』を作ることです。
かつての演劇の仕事で多少は舞台度胸がついているとは言え、久しぶりに自分の身ひとつを差し出しての仕事です。マイクの前に座り、赤いボタンを押して、朗読する間、緊張のし通しでした。そして、いよいよオーディオ・ブックの完成も間近というある日・・・

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