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2010年7月19日 (月)

An Echo in the Bone 骨の中のこだま5

さて舞台はニューベルン、クレアがファーガスとマーサリの印刷屋で、抜歯をしています。
18世紀の抜歯ですから、麻酔も何もなく、血みどろのショーということになり、窓の向こうは黒山の人だかり。明るさが必要なクレアのために、マーサリの娘たちは少し離れた場所でヘンリ・クリスチャンを見世物にして、野次馬の意識をそらせ、ついでに小遣いをかせいでいます。そう、あの前作で小人として生まれ、ファーガスを絶望のあまり自殺しそうになた原因のヘンリ・クリスチャンです。彼自身は、見世物になることを楽しんですらいるのです!

そのときです。『パーシヴァル・ビューチャンプ』と名乗る男が、『ハントレス』という船を持っていて、今朝ジェイミーが船長に乗りたいと申し入れたから、と訪ねてきたのは。
さらにその男は、パリの売春宿で育ち、とても背が高く赤い髪のスコットランド人に連れていかれた41か42歳の『クローデル』という名の男を探しているというのです!
その『クローデル』は、まさしくファーガスにちがいありません!
いったいなぜ、ビューチャンプはファーガスを探しているのでしょう?
そして、この男はクレアの先祖なのでしょうか?

ますます謎が増えてきた!おもしろくなってきたぞ、と思ってくださる方は、
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ファーガスにビューチャンプのことを話すべきか話し合っているクレアとジェイミーの所へ、アビゲイル・ベルという女性と2人の娘たちが訪ねてきます。
彼女の夫、リチャード・ベルという名のウィルミントンの商人が、英国支持派という理由で路上で身柄を拘束され、サザンプトン行きの船に乗せられてしまったというのです。
『スコットランドへ行くのなら、主人に会ってください。』
『しかし、イングランドのサザンプトンに向かったご主人が、なぜスコットランドにいるのですか?』
『一銭も持たずにイギリスの土を踏んだ主人ですが、乗せられた船の船長さんがいい方で、主人と以前に取引のあった方のいるロンドンまで連れて行ってくださった上、お金も貸してくれたのです。その取引のあった方は、エジンバラまで主人を送り、そこからアメリカへジョージア経由で荷物を届けて欲しいという約束で、船長さんへの借金も払い切れるくらいのお金を前貸ししてくださったのです。ところが、その荷物は奴隷たちだったのです。主人は人種差別反対派です。どんなに高くつこうとも、奴隷制度に手を貸すことはできないのです。』
『フォーブスさんは、あなたがミス・キャメロンの奴隷を解放してくださったと教えてくれました。だから私たちは、いくらあなたがその・・・』と言いよどんだのは、3人の中で最もしっかり者に見える、下の娘ミリアムです。
『たとえ私が約束破りの反逆者だとしても、あなた方に手助けをしてやるだろう、と考えたわけか?』とジェイミーが言葉を継ぎ足します。
フォーブスは、以前ブリアナに求婚して断られ、その復讐にブリアナをさらって海賊に引き渡し、仕返しにイアンに耳を切り取られた男です。
『いったい、フォーブスは君らに何といったのかね?』
ジェイミーは、3人の中で最も弱いと思われる、母親に向かって問いただします。
『フォーブスさんは、あなたが死んでいてよかった、とおっしゃいました・・・』
ミセス・ベルは弱々しく答えると、気を失ってしまいます。


上の娘リリアンからジェイミー達が聞いた話では、彼女がホットサイダーを飲もうと立ち寄ったウィルミントンの店でフォーブズに会い、彼がベル氏を知っていて、同情しているという話をしたのです。そのときそこで働いているジョカスタ叔母の奴隷であったファードレイが水差しを運んできて、フォーブスと鉢合わせをしたのです。フォーブスは奴隷時代の彼女を知っていたので、どうしてファードレイがそこで働いているのかという話になり、ファードレイ自身がジェイミーに開放してもらった話をしたのです。フォーブスが『ジェイミーとその家族がみんな焼け死んだのは残念だ』と言ったのに対し、ファードレイがどうしてそんなことを言うのか聞き、その答えが『ウィルミントン・ガゼット』という新聞に記事が載っていたということだったのです。

『ところが昨夜、近所の方がエジンバラ行きの船を探しているあなたに会ったと聞いて、何か情報が間違っているとわかったのです。最近は、新聞に書いてあることも信じられませんものね・・・』
『確かに私はスコットランドへ行こうとしている。しかし船が見つからないのだ。』
『私たち、見つけられるんです。』とミリアム。
『いろいろありはしましたが、私たちにもまだ友人はいます。その一人がデランシィ・ホールといい、密輸や何かに使っている漁船を持っているのです。そのホールが言うには、来週かさ来週にイギリスから『自由の息子たち』所有の船がやってきて、密かに荷降ろしをした後にエジンバラへ向かう予定だというのです。』
『君たちのお父さんは、あのアンディ・ベルさんではないですか?』
『そうなのです。あなたは主人を御存じなのですか?』
『幾晩も宿をともにしましたよ。私が印刷機を預け、スコットランドで会おうとしている男がベル氏です。』

というわけでスコットランド行きについてジェイミーは、2つの選択肢を持つことになるのです。ビューチャンプか、ホールか、という選択肢です。

ところでファーガスは?
もちろんジェイミーは彼に、フランスから『クローデル』という男を探してここまでやってきた人物がいることを知らせます。
店の窓から気付かれないように『ビューチャンプ』の風体を見て、ファーガスは『いかにもフランス人に見える。』とつぶやきます。
『彼の顔に見覚えは?』『いや、会ったことはない。』『誰かに似ているかな?』『ぜんぜん。そう思う?』『いや、思わん。』『彼の船に乗るの?』『いや、誰だかわからず、目的も怪しい人間の船に乗ろうとは思わん。たとえ船酔いをしなくても、だ。』
そのときジェルマンが入ってきます。
『僕、あの人と話したよ。』『いったい何をしたんだ?』『彼は僕なんかと口をきいてはくれないと思ったんだ。だからサイモンとピーターを通り道に投げた。』『いったい、誰を・・・』
ジェイミーが言葉を終わらせないうちに、ジェルマンはシャツの奥からゲロゲロ鳴く生き物をテーブルの上に取り出します。
『そして、あのフランス人は、おまえに何といったのだ?』『えっ?あの人はフランス人じゃないよ。このカエルが靴の上に乗った時、パパみたいには罵らなかったもの。あの人はイギリス人だよ。』『英語で罵ったのか?他に何か?』『あとね、僕はあそこに停まっている船はあなたのですか?素敵な船ですねって言ったんだよ。そしたらあの人は、あれは自分のではなく、フランスにいるある偉い人の船だと言ったんだよ。アマンダイン男爵のだってさ。』

ジェイミーは、デランシー・ホールを訪ね、金の粒いくつかと引き換えに、1、2週間のうちにエディンバラ行きの船があれば斡旋して欲しいと頼みます。
その帰り道、ジェイミーはファーガスに訪ねます。
『ビューチャンプが探しているのが君だとは思わないか?』『ええ、思います。』
『では、わざわざアメリカまで追いかけてくるからには、君自身に何か利益になることかもしれないとは思わないか?アマンダイン男爵が親類とか?』
ファーガスはうなずきますが、すぐには答えません。
『ずっと長い間、孤児はすべてそうだと思うけど、自分が誰かすごい人の私生児だと思ってきた。そうした方が、生きていきやすいんだ。いつか、誰かがやってきて、本当の場所に連れ戻してくれると思っている方が。』肩をすくめます。
『そして俺は大きくなり、信じていたことも本当じゃないとわかった。誰も助けには来てくれない。けど・・・』彼はジェイミーに、輝くような優しさをこめた笑顔を見せます。
『俺はもっと成長した。そして、ついに見つけたんだ。結局それは本当だった。俺は確かにある偉大な男の息子だったんだ。』彼のかぎづめがジェイミーの手に触れます。力強く、意味を込めて。
『これ以上、何も望まないよ。』

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