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2010年9月19日 (日)

An Echo in the Bone 骨の中のこだま10

ブリアナ達の章です :)
前回では、ブリアナがロジャーに、1年間も働かないで!私が仕事に就くわ!
と宣言し、ショックを受けたロジャーがオックスフォードに出かけてしまったところでした。

(An Echo in the Bone 骨の中のこだま3)


ラリーブロッホ1980

早起きしたブリアナは、子どもたちがいないのに気付きます。
「ジェム?」「マンディ?」返事がありません。

2日前、同じようなことがあったとき、バスタブの中に目覚まし時計がバラバラになっていました。そして2人とも庭にいて、まったく罪のないフリをしていました。

「僕、やってないよ!それにマンディは小さすぎるし。」
「ちいしゃすじる。」マンディも、豊かなカールした黒髪を振り乱しながらうなずきます。
「そう。でもパパもやってないよね。」ブリ―も、まっすぐな眉を上げながら言います。「アニーだって違うし、疑う余地もないわよね。」
「うちゃがい、うちゃがい。」マンディは新しい用語に魅入られて、うれしそうに繰り返しました。
ジェムは「きっと、ピスキーだよ、ママ。」と言いました。
「ピシュキー、ピシュキー!」とマンディが、スカートを頭にかぶり、パンツを丸出しにしながら言います。「ピシュキーんとこ、行かなきゃ、ママ!」
急いでトイレに連れていくことになり、そのスキにジェムは消えていて、夕食まで現れませんでした。

その後は、いつもの大忙しの中で目覚まし時計のことは後回しにされて、寝るときにロジャーにそれが無いことを指摘されるまで、忘れられてしまっていました。

「ジェムは、いつもは嘘をつかないよね。」とロジャーが言いました。
ブリアナは、髪をとかしながら彼を陰険なまなざしで見ました。
「あ、そう。あなたもピクシーのせいだというのね。」
「ピスキーだよ。」ロジャーは、ボウルに入れた時計の部品を指でかき回しながら、うわの空で言いました。
「なんですって?ここの人々は、本当に『ピスキー』と呼んでいるの?私はジェムが、発音を間違えているのだと思っていたわ。」
「いや、『ピスキー』は、コーンウォール語だ。西部地方でも、コーンウォール以外では『ピクシー』と呼んでいる。」
「スコットランドでは、何て呼んでいるの?」
「ここには、ピクシーはいない。スコットランドは民話の宝庫だけどね。」ロジャーは、時計の部品を手のひらいっぱい掬いあげて、いい音をさせながらボウルの中に落としました。
「スコットランド人は、陰気なタイプの超自然的なものが好きなんだ。ウォーター・ホースとか、バンシーとか、ノクレヴィーとかね。ピクシーは、スコットランド人にとっては、ちょっとつまらなすぎるんだ。それに、僕たちにはブラウニーがいる。」
「ノクレヴィーって、何?」
「それは、オークニー諸島の民話なんだ。寝る前には聞かない方がいい。」
ロジャーはそう言ってかがみこみ、ブリアナの耳たぶの下に、そっと息を吹きかけました。

その後に起きたことを思い出して、ブリアナは微かなうずきを感じましたが、すぐに心配な気持ちが戻ってきました。
ジェムとマンディは、どこへ行ってしまったのかしら。
すぐにブリアナは、食べ物がいくらか無くなっているのに気付いてほっとします。
ピクニックに行ったのなら、そんなに遠くへ行ったはずはないわ。
マンディはまだ、半マイルくらいしか歩けない。

ブリアナは、野菜ガーデンの木戸を開け、ラリーブロッホの名前の由来である古代の円塔(ブロッホ)へと通じる丘を見渡しました。
その同じ丘の上の方には古い墓地があります。墓石に刻まれた名前や日付は風雨にさらされて判読不能となり、石そのものも藪に呑まれています。
すぐに、ほふく性のハリエニシダやエニシダの間に点在している墓石の間に、ジェムとマンディの小さな影を見つけます。
近づいてみると、ジェムはアリの観察をしていました。

ジェムは学校の本でアリに関する実験を見て、試していたのです。
けっこうおもしろいけれど、本筋からははずれるので、ここの所は翻訳の方を読んでね!
なかなか翻訳が出ないんだな!と待ち遠しい方は、
↓ をクリックしてからまた続きを読んでください。


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「マンディが、おじいちゃんと話をしたがったんだ。」とジェムは、まるで当たり前のことのように言いました。「だから、ここに上がってきたんだよ。」
「あら、そうなの?」ブリアナは、ゆっくりと言いました。
「どうして、ここがおじいちゃんと話すのにいい場所なの?」
ジェムは、びっくりしたように墓地の墓石の方を見つめました。
「おじいちゃんは、ここにいないの?」

悪寒というには強すぎる何かが、ブリアナの背骨を駆け上りました。
それが本当かもしれないということよりも、ジェムがあまりにも当然のように言ったということが、ブリアナにはショックだのです。
「わからないわ。そうかも、しれないわね。」
ブリアナは、自分の両親がとっくに死んでいるという事実をなるべく考えないようにはしていましたが、なんとなく埋められているのはノース・カロライナ、あるいは戦争でフレイザー・リッジから出たとしてもアメリカの植民地のどこかだと思っていたのです。

でもブリアナは突然、両親の手紙を思い出しました。
ジェイミーは、スコットランドに帰ろうと思う、と書いていました。
そして彼は、とても意志の強い人間です。
それからアメリカへ帰らなかったのかしら?ジェイミーが帰らなかったとしたら、お母さんも?

そうするつもりではなかったのに、ブリアナは円塔の下を通って、墓石の間を抜け、どんどん上へ登って行きました。
一度、叔母のジェニーと来たことがあります。
あのときは夕方早い時刻で、草の間を風が抜け、丘の斜面にのんびりした雰囲気が漂っていました。
ジェニーは、祖父母、ブライアンとエレンの墓を教えてくれました。2人いっしょに一つの墓に入っていて、書かれた名前は風化し、草に覆われ、苔むしてはいても、今でもブリアナにはその墓の形はわかりました。エレンの3番目の息子、エレンといっしょに亡くなってしまった赤ちゃんも、いっしょにお墓に入っているのです。その子はロバートというのよ、とジェニーは言いました。父ブライアンが、絶対その子に洗礼を受けさせると言い張り、死んでしまった弟の洗礼名はロバートになったのです。

ブリアナは、墓石の間に立っていました。
墓石はたくさんありました。比較的新しいもの、1800年代後半以降の墓石は、まだ文字が判読できました。ほとんどは、ムレイ、マックラクラン、マックリーンでした。ところどころにフレイザーやマッケンジーもありました。
もっと年代が古いものは、文字が風化して読めませんでした。

エレンの墓の隣に、ケイトリン・マイズ・ムレイの小さい四角の石がありました。ジェニーの6番目の子ども、1日かそこらしか生きなかった子のお墓です。ジェニーはブリアナにその石を見せてくれ、文字の間をやさしくなでて、その脇の小道に咲いていた黄色いバラの花を置きました。お墓を訪問した人が小石を積み上げて作るケルンもそばにありました。あのとき以来時がたち、ケルンの小石は散らばってしまっていましたが、ブリアナはかがんで小石を1つ見つけ、小さい墓石のそばに置きました。

その横に、もう一つ石がありました。子どものためのような、小さい墓石です。
ほとんど同じくらい古いのですが、あまり風化はしていません。
2語だけ書いてあるとブリアナは思い、目を近づけて、石の表面を指でなで、浅い線を感じました。最初の語には『E』の文字があり、2番目のには『Y』があるように思えました。たぶん『K』も。
ハイランドの名前で、Yで始まるのって、何かしら。とブリアナは考えました。『マッケイMcKay』という名はあるけれど、それじゃ順番が違うし・・・

「どれが、あの・・・おじいちゃんのお墓か、わかるの?」とブリアナは、おずおずジェムに訪ねてみました。
「ううん。」ジェムは驚いたようでした。そしてブリアナが見ている墓石の方向を眺めました。
明らかに、ジェムは墓石とジェイミーを結びつけて考えてはいないようでした。「おじいちゃんは、ここに埋められたいと言ってただけだよ。だからここに来ると、おじいちゃんのために小石を置かなきゃいけないって思うんだ。で、置いたんだ。」
ブリアナは、ジェイミーの声を聞いた気がしました。
「どこに置いたの?」
「あっちの上の方だよ。おじいちゃんは、上の方が好きなんだ。見晴らしがいいからね。」
ジェイミーは気楽にそう言って、丘の頂上を指さしました。
円塔の影の向こうにエニシダやヒースの間を縫って、道らしきものがついていて、丘の頂上には大きな岩があり、その肩のところに小石が小さなピラミッドのように積まれていました。

「あれは、今日積み上げたの?」
「ううん。来るたびに1つずつ摘んだんだ。それが決まりでしょ?」
ブリアナは、のどに塊がつかえるのを感じましたが、それを飲み込んで、ほほえみを浮かべました。「その通りよ。私も行って、ひとつ積もうかしら。」

マンディは、その辺にある葉っぱや何かで、見えない客とおままごとをしていました。
ブリアナは、彼女を遊ばせておくことにし、ジェムと登りはじめましたが、最後のところはとても急で、両手とひざを使って這い上がりました。

丘の上は風が強く、虫に悩まされずに済みました。汗ばんではいましたが、ブリアナは小石をひとつ、慎重にケルンに加え、景色を楽しむために少しの間座っていました。
ラリーブロッホの大半を眺めることができ、ハイウェイから出てくる道路も見えました。
じっくり観察してみましたが、ロジャーの乗った明るいオレンジ色のモリス・ミニは見えませんでした。ここは高く、涼しい風とミツバチのささやき以外は静かです。お父さんが好きだというのは、ちっとも不思議じゃない・・・

「ジェム」
ジェムは、周囲の丘を見渡しながら、岩の上に寝転がっていました。「なに?」
ブリアナはちょっと躊躇しましたが、聞かなければなりません。
「あなた・・・おじいちゃんが見えるんじゃないわよね?」
ジェムは、ブリアナをびっくりしたように青い目で見つめました。
「ううん。おじいちゃんは死んでいるんだよ。」
「そうね。」ブリアナは、少し安心し、少しがっかりして言いました。「わかっているわ。ちょっと知りたかったのよ。」
「たぶん、マンディには見えるんだよ。」とジェムは、下の方の風景の中で赤い点にしか見えない妹の方をうなずきながら言いました。「でも、よくはわからない。赤ん坊は見えない人とよく話すんだ。」ジェムは寛容に付け加えました。「おばあちゃんがそう言うんだ。」

ブリアナは、ジェムが祖父母のことを現在形で話すのをやめさせるべきなのかどうか、よくわからなくなりました。彼の話しは、ちょっと心配になったどころではないのですが、とにかくジェムは見えないと言ったのです。
ジェムがクレアを見るのかどうか、たぶん見ていないのだろうとは思いましたが、聞きたくありませんでした。いずれにしても、ジェムやマンディがクレア達のことを話すたび、両親を身近に感じることができました。
それに、ジェムやマンディにも、クレア達を身近に感じて欲しかったのです。

ブリアナとロジャーは、他のことと同様こういった不思議な現象についても、説明できる限り子どもたちに説明をしてきました。
それにジェイミーも、自分の孫と個人的に話をしているに違いありません。
いいことだわ、と彼女は思いました。
敬虔なカトリックの考え方と、ハイランド人としての人生、死、見えないものなどを当たり前のものとして受け入れる態度が入り混ざっているジェイミーの考え方は、サークルストーンの片側では自分が死んでいることになっているという事実を説明するのには、とても向いているのかもしれないのです。でも・・・

「おじいちゃんは、僕たちの面倒を見てくれる、って言ってたよ。」とジェムは言って、ブリアナの方を振り向きました。
ブリアナは、その話題を口にしたことを後悔しました。
ジェムが、考えを読んだはずはないわ。と自分自身に強く言い聞かせました。
2人はジェイミーのことを話していたのだし、ジェムはこの特別な場所をジェイミーに敬意を払うために選んだのですもの。だからジェムの頭にジェイミーのことがあったとしても、まったく自然なことだわ。

「もちろん、おじいちゃんはそうしてくれるわ。」
ブリアナはそう言って、ジェムの角ばった肩に手を置いてマッサージをしました。
ジェムはくすぐったがって笑い、彼女の手から逃げ出して岩から飛び降り、ときどきおしりで滑ってジーンズをボロボロにしながら小道をくだっていきました。
ブリアナは、ジェムの後に続いて降りる前にあたりを見回し、4分の1マイルほど(400メートルくらい)上の丘の頂上に、石が積み重なっているのを見つけました。

積み重なった石は、ハイランドの丘の上にはたいていあるものですが、この石は何か少し違うところがありました。手をかざして目をすがめて見てみました。間違っているかもしれないけれど、私は技術者だわ・・・人間の作ったものなら、そうとわかる。
石器時代の要塞?そうかもしれない。
ブリアナは、興味をそそられました。
あの石のかたまりの基盤には、積み重なった石の層があるはず。
土台よ。たぶん。いつか近いうちに、調べに登らなくちゃ。
明日、もしロジャーが・・・
再びブリアナは、ハイウエイからの道を見降ろし、何もないことがわかりました。

下についた時、マンディはティーパーティには飽きて、家に帰りたがっていました。
片手に娘を、もう一方の手にティーカップを持って、ブリアナは大きな白いハーリング加工(スコットランドの建築技術)をした家い向かって降りて行きました。
窓は新しく洗ったようで、迎えるように輝いていました。
アニーがきれいにしたのかしら?気付かなかったわ。あの窓を洗うのは、すごい大変なはず・・・
それからブリアナは新しい仕事への心配が気になり始めました。月曜日には、前にいた所へもう1歩近づけるのです。かつての自分を築き上げるための土台というわけね・・・

「たぶん、ピスキー達がやったのよ。」とブリアナは声に出して言い、笑いました。
「ピスキー達がやった!」とマンディが楽しげに繰り返しました。

ジェムはもう下に着いていて振り返り、いらいらしたように彼女たちを待っていました。
「ジェム。」
ブリアナは、彼に追いついたときに、ある考えがひらめきました。
「あなた、ノクレヴィーが何だか、知っているの?」

ジェムは目を大きく見開き、マンディの耳を手で覆いました。
何百もの冷たい足を持った何かが、ブリアナの背中をかけ上った気がしました。
「知ってるよ。」とジェムは言いましたが、声は小さく、かすれていました。
「誰に聞いたの?」ブリアナは、声を抑えながら訪ねました。
アニー・マクドナルドを懲らしめなきゃ。
でも、ジェムの視線は横に逸れ、自然にブリアナの肩越しに、円塔の方を見ていました。

「あいつが、言ったんだ。」と、ジェムはささやきました。
「あいつ?」ブリアナは鋭い声で訪ね、兄の手からもがいて逃れ、怒って振り向くマンディの腕を掴みました。「マンディ!お兄ちゃんを蹴らないの!ジェミー、誰のことを言ってるの?」
「あいつだよ。」とジェムは口走りました。「ノクレヴィーだよ!」

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