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2010年10月21日 (木)

An Echo in the Bone 骨の中のこだま17

場面は、1777年3月3日、ウィルミントンのクレアとジェイミーに移ります。
この前クレア達が出てきたのは、ウィルミントン・ガゼット紙にあの死亡記事について尋ねに行った時(6)ですから、ずいぶんお久しぶりです。


私は、ジェイミーがまた夢を見ていると、すぐにわかった。
彼の顔は焦点が定まらず、まるで自分の皿の上の焼いたブラック・プディング(血のソーセージ)でない何か、心の中を見ているようだった。

彼がこんな様子なのを見ると、私は何を見ているのか、すぐにも聞きたくなってしまった。が・・・あわててそれを抑えた。
尋ねるのが早過ぎれば、彼がその夢を一部見そこなってしまうかもしれないからだ。

おまけに本当のところ、このことは私を羨ましさでぎりぎりに縛った。
彼が見ているものを見ることができるのならば、それが夢であろうと現実であろうと、私は何だってあげただろう。
現実かどうかなんて、まったく問題にならない。
大切なのは、つながりなのだ。
彼の顔にあの表情が浮かんだ時、私の消えた家族を私とつないでいる神経細胞の端っこが、まるでショートした電気ケーブルのように火花を散らし、焼けつくのだ。

私は、彼が夢見たことを知らずにはいられない。
でも夢がいつもそうであるように、それが分かり易かったことはめったにない。


タイムトラベルできるのはクレア。
でも、違う時代のブリアナ達を見ることができるのは、ジェイミーだけ。
そういえば、一番最初にクレアの時代に現れたのは、夢の中のジェイミーだった。
タイムトラベルと夢の謎。
ガバルドンさん、どう料理していくのかな?
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それから夢の中身を知りたい方は、≪つづき をどうぞ。

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「あなた、みんなの夢を見ていたでしょう、ちがう?」
私は、給仕するメイドが去った後、聞いた。

私たちは遅く起きた。
前の日に、ウィルミントンまでずっと馬に乗ってきたので、すっかりくたびれてしまっていたのだ。そして宿屋の小さな食堂で食事をしているのは、もう私たちだけだった。

ジェイミーは私を見て、ゆっくり頷いた。
眉の間に小さなしわが寄っていた。
私はそれを見て、不安になった。
彼はブリ―や子どもたちの夢をときどき見るが、大抵は平和で嬉しそうだったのに。

「何だったの?」私は詰問した。
「何が起きたの?」
「何でもないんだ、サセナッフ。
 俺はジェムと小さなあの娘を見た・・・」
それを思い出して、ジェイミーの顔に微笑みが浮かんだ。
「やれやれ、あの子は元気なちびのお転婆だ!
 まったく君にそっくりだよ、サセナッフ。」

これは言葉にすると怪しいお世辞でしかないが、思い浮かべた私は、心の底から温まるものを感じた。
私はマンディとジェムを見つめて、何時間も過ごしたものだった。
そしてどんな小さな特徴やしぐさも記憶しようと努力し、成長したらどんなふうになるだろうかを想像したのだった。
私は、マンディが私と同じ口元になるとほぼ確信していた。
また、彼女は私と同じ目の形、それから・・・かわいそうに、色が墨のような黒だということ以外は私と同じ髪になることも知っていた。

「みんな、何をしていたの?」
ジェイミーは、まるで額が痒いかのように、眉の間を指でこすった。
「外にいた。」と、彼はゆっくり言った。
「ジェムがマンディに何かするように言い、彼女は彼の脛を蹴っ飛ばして、逃げ出した。
 だからジェムは追いかけた。
 春だと思うな。」
ジェイミーは微笑み、視線は夢の中で見た何かに固定されていた。
「小さな花が咲いていた。マンディの髪の中にからんでいたり、石の間に群がったりしていた。」
「何の石?」と私は鋭く聞いた。
「ああ、墓石だよ。」とジェイミーはすぐに答えてくれた。
「あれは・・・あの子たちは、ラリーブロッホの裏の丘の墓石の間で遊んでいた。」

私は幸せでため息をついた。
今回で、3回目だ。
彼らがラリーブロッホにいるのを見るのは。
単なる願望でしかないのもわかっているが、私はこの夢によって彼らがそこに家庭を作っていると感じることができ、ジェイミーも私と同じくらい幸せなこともわかっていた。

「本当に、そうなのかもしれない。」と私は言った。
「私があなたを探しているときに、ロジャーがラリーブロッホに行ったの。
 彼は、ラリーブロッホは空っぽで、売りに出されていると言っていたわ。
 ブリ―は、お金があるはずよ。
 彼らは、買ったに違いないわ。
 あそこに住んでいるかもしれないわ!」

私は前にも、そう言ったと思う。
でも、ジェイミーは喜んで頷いた。
「あい、そうかもしれない。」彼は言った。
彼の眼は、丘で遊ぶ子どもたちの思い出で優しかった。
子どもたちは、長い草と、彼の家族の休息場所を示す風化した灰色の石の間を追いかけっこしていた。

「チョウチョが一匹、いっしょに飛びまわっていた。」突然彼が言った。
「忘れていたよ。青いやつだ。」
「青?スコットランドに青い蝶なんて、いたかしら?」
私は、思いだそうとしながら、顔をしかめた。
私が気付いた限りでは、スコットランドの蝶は白か黄色だったはずだ。
「これは、夢なんだよ、サセナッフ。
 チョウチョがチェック柄だってかまわないんだ。
 俺はそれがいいね。」
私は笑ったが、ごまかされなかった。
「いいわ。では何が気になるの?」
ジェイミーは、不思議そうに私を見た。
「どうして俺が悩んでいるってわかるんだ?」

私は鼻の上から彼を見下ろした。
というか、身長差が許す限り、鼻の上から見下ろすように努めた。
「あなたは、(私のような)あけすけの顔はしてないかもしれないわ。でもね、私はあなたと30年以上も連れ添っているのよ。」
彼は、そのうちの20年間はいっしょにいなかったという事実はコメント無しに素通りさせ、微笑んだだけだった。
「あい、でも何でもないんだ、本当に。
 ただ子どもたちが円塔(ブロッホ)に入ったというだけで。」
「円塔に?」と私はあやふやに言った。
ラリーブロッホが名付けられた由来の元である、古代の塔は、家の裏手の丘の上に建っていた。
その影は、まるで大きな日時計のように、毎日墓石の上を威風堂々と通り過ぎて行った。
ジェイミーと私は、ラリーブロッホに滞在した時、最初の頃は夕方しばしばそこに登って行き、円塔の壁に沿ってつけられたベンチに座って、家の雑事から逃れて、たそがれに柔らかく照らされた白と緑の屋敷と領地の平和な眺めを楽しんだものだった。

ジェイミーの眉の間に、小さなしわが寄った。
「円塔」と彼は繰り返した。
それから、困ったように私を見た。
「俺には、それが何なのかわからない。
 ただ、子どもたちには、中に入って欲しくなかった。
 それは・・・中に何かいるような気がしたんだ。
 待ち構えているんだ。
 俺は、それが全然気に食わなかった。」

ジェイミー、何とかして危険が迫っていることを、子どもたちに伝えられないの?
あなたの手紙作戦は?
不気味な古代スコットランドの言い伝え・・・
ノクレヴィー・・・
さて、これからの展開は?

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